エッセイ

【脳内の膨大な記録をググるコツ】記憶のタグ付けをすると検索が楽です

2020年5月27日

もう数十年も前になっちゃったけど、大学受験で吉祥寺に宿泊したことがあります。

一人で新幹線なんて乗ったこともなく、初めての東京駅に着いてからは、駅の広さや路線の多さにビックリして、どの電車に乗っていいのかも分からずに、途方に暮れてしまった。

電車移動では、かつて味わったことがない通勤ラッシュに揉まれて、ここまで人がギュウギュウ詰めにされるのかって、人の多さにも驚いた。

で、電車を降りると後ろポケットに入れていたお財布がない訳です。

地方から出てきた、高校生の財布をスルなんて簡単だったんだろうなぁ。

早くも洗礼を浴びてしまった。

郵便局のキャッシュカードも入っていて、自宅に暗証番号を教えてくれって電話があったから、盗られちゃったのは間違いない。

失意のどん底になったのは、財布の中に帰りの切符や受験票まで、丁寧にしまい込んでいたことだった。

世間知らずの高校生は、受験票を持っていないと受験ができないんだと思い込んでしまい、何しに来たのかと泣きそうになったんだけど、大学の風景や受験をしたことは覚えているので、まぁ何とかなったんだろう。

その辺の記憶があいまいで、よく覚えていないんだけど、ちゃんと家まで帰り着いて、後日見つかった僕の財布を警察が自宅へ送ってくれました。

中には帰りの切符と受験票が残っていたけど、お金はやっぱり1円も残っていなかった。

電話して暗証番号まで聞く根性が素晴らしい。

そんな出来事があったせいか、はたまたなくても力不足だったのかは、今でも分からないけど、受験の結果は不合格で無事地元の大学へ進学し、一度も同じ都市から移り住むこともなく現在まで故郷で過ごしています。

経験していないものはよく見えるもので、ちょっとくらい東京での暮らしをしてみたかった気もするけど、今の生活に満足しているから、あの時の泥棒は僕の人生を変えてくれたのかもしれない。

分からんけど。

仕事の都合で、時折遠方に出張することもあります。

そんなある時、府中へ行く用事ができて、折角行くのだから前泊して楽しんでこようと、あちこち巡ってみました。

その時にふっと、先ほどまでの経緯を思い出して、なかなか西東京方面に自分が今後来る事もないだろうと思って、わざわざ遠回りになる路線を選んでまで、吉祥寺に立ち寄ってみました。

たかだか一泊しただけだから、何の感慨も湧かないんだけど、何故か当時の記憶が鮮明によみがえる。

記憶のとおりに歩いて行くと、当時宿泊した吉祥寺第一ホテルにたどり着いた。

当時は東京第一ホテルという名前だった気がするけど、記憶が確かじゃない。

エスカレーターで2階に上がった所にフロントがあるのは変わってなかった。

街の記憶がほぼないのに、もう一カ所記憶に残っている場所があった。

地図なんて見てないし、記憶だけで歩いたのに、そこにはその記憶の店があった。

受験前夜、エロ本を買った古本屋さんだ。

個人店だったし、失礼ながら、もうないかなって思ってたら、ちゃんと営業されていました。

その店に入ったとたん、買ったエロ本が置いてあった場所まで、鮮明によみがえる。

今ではエロ本ではなく、旅行雑誌が置いてあったことに時の流れを自分勝手に感じ取りました。

きっと財布をスられて、ムシャクシャしていたんだろう。

じゃないと受験前夜に勉強もしないで、エロ本を買うなんてことはあり得ない。

はずです。

 

入って右側手前のコーナーに当時それがありました。

エロという共通項で結ばれた情景が繋がり、鮮明に記憶が揺り想い起こされる。

しかし、肝心のエロ本の内容は一切覚えていない。

記憶のタグ付けとでもいうのだろうか。

単なる出来事に、印象的なエピソードを加えると、いつまでも覚えていることが多い。

この気付きを今後に活かさねばならない。

ただ少し残念なのは、買ったエロ本が僕の深層心理にタグ付けされる内容でなかったことだろうか...

きっとスレてしまった今なら、タグ付けに値するんだと確信している。

しかし、思春期の男子高校生にとってのエロより、強く記憶にタグ付けできる事柄を見つけることは難しそうだ。

今後このブログを続けながら探していくとしよう。

大学受験。そりゃ落ちるよね。

総合して判断するとこりゃ、スリのせいではないな。

 

他の風景はほとんど記憶に残っておりませんでいた。

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