相続・遺言・登記

市街化調整区域でも建築可能な【自己用住宅・既存宅地・農家住宅】

2020年11月28日

先日、農地の名義を変更したり、農地に建物を建築する場合には、どういった手続きが必要になるのかをご説明しました。

 

 

都市計画法では、第34条に市街化調整区域に建物を建てられる場合の、立地基準を定めています。

建物建築の代表的な許可基準の内、「農家の二・三男が分家する場合の住宅等」を解説しましたので、残りの許可基準の内、主立ったものをご説明致します。

 

既存集落内のやむを得ない自己用住宅

開発審査会基準第7号
「既存集落内のやむを得ない自己用住宅」

この基準は、前回ご説明しました、都市計画法第34条第1号の「農家の二・三男が分家する場合の住宅等」と近いのですが、要件が異なります。

第7号の許可基準には、本家が必要ありません。

つまり「分家住宅」に必要な、本家がなくても、要件を満たせば、市街化調整区域内に住宅の建築ができます。

「分家住宅」に「一般分家」「大規模分家」といった2つの基準があったように、「やむを得ない自己用住宅」にも次の2つがあります。

  1. 一般やむを得ない自己用住宅
  2. 大規模やむを得ない自己用住宅

どちらの基準も、敷地面積が500㎡以下である必要があります。

1の「一般やむを得ない自己用住宅」は、線引き前の市街化調整区域になる前から、申請者本人が所有している土地であることが必要です。

また、以下の場合も「一般やむを得ない自己用住宅」の要件に当てはまります。

  • 線引き前の所有者から、線引き後に相続で取得した土地
  • 線引き前所有者から、相続人の立場で線引き後に贈与で取得した土地

建物を建築しようとする土地は、50戸以上の建物が55m以内の間隔で、連たんしている必要があります。

 

2の「大規模やむを得ない自己用住宅」は、申請者が市街化調整区域内の大規模既存集落に、線引き前から継続して居住しており、その同一集落内の土地を取得して、住宅を建築する方法です。

大規模既存集落の要件は、その土地の集落内に、200戸以上の建物が55m以内の間隔で、連たんしている必要があります。

 

1の場合も2の場合も、原則として持ち家あると許可は下りません。

持ち家があった場合でも、以下の場合には、許可が下りる可能性があります。

  • 持ち家を売りに出している
  • 持ち家が過密や狭小等で住みにくい
  • その他、持ち家に住めない合理的な理由がある

但し、「分家住宅」と同様に、市街化区域に土地を所有している場合等は、そこに建物が建てられない理由がない限り、そちらへの建築が優先され、許可は下りません。

 

既存宅地

 開発審査会基準第17号
「既存の宅地における開発行為又は建築行為等」

いわゆる「既存宅地」です。

建築したい土地が、線引き前され、市街化調整区域になる前から、宅地であった土地で、現在も宅地である必要があります。

また、周辺が50戸以上の建築物が連たんしていなければなりません。

以前は、「既存宅地確認制度」というものがありました。

その土地が「線引き前から既に宅地となっていた」などの条件を満たした場合に、建築行為許可を免除する制度でした。

平成13年に廃止され、新しく既存宅地に住居を建築する場合には、許可を取得しなければなりません。

「分家住宅」や「やむを得ない自己用住宅の建築」は、人の許可基準ですが、「既存宅地」は、土地の許可基準です。

 

そのため、「既存宅地」であれば、誰が購入しても自由に住宅を建てることができます。

しかし、その土地が既存宅であるかどうか、証明が難しい場合があります。

以下の場合には、既存宅地であると言えます。

  • 土地登記事項証明書で、線引き前から宅地であることの確認ができる場合。
    但し、宅地への地目変更登記が、は昭和50年3月31日までにされている必要があります。
  • 建物登記事項証明書で、線引き前から建っていたことが確認できる場合。

上記で線引き前から宅地であったことが読み取れない場合には、家屋の課税証明書、過去の航空写真、過去の住宅地図など、の資料を付き合わせて、線引き前から宅地であったことを証明しなければなりません。

また、平成13年5月18日以降に分筆された土地は原則160㎡以上である必要もあります。

市街化調整区域でも、人を選ばずに建物を建築できるので、一般的に他の周辺土地に比べて、売買価格は高く扱われています。

 

農家住宅・立て替え(適用除外)

 都市計画法第29条に、建物を建てるのに、開発許可を要しないものが定められています。

その中でも、住宅建築に関して関係するものに「農家住宅」「立て替え」があります。

農家住宅

「農家住宅」と聞くと、農業用設備を整えた建物かと思いがちですが、普通の住宅と変わりのない建物の建築が可能です。

必要になるのは、農機具の収納ができる10㎡程度の農業倉庫を、別途作らなくてはいけないくらいです。

農家住宅を建てられる要件は、各農業委員会によって差がありますが、年間農業所得が15万円以上あり、1,000㎡以上の耕作面積があるといったことが「農家住宅」の建築に求められます。

適用除外ということは、許可が不要になるということですが、この要件に適合している証明書を取得しなければなりません。

この証明書のことを、「都市計画法施行規則第60条証明書(60条適合証明)」と言いますが、建築確認申請に添付しなければなりません。

適用除外なので、許可が不要で建築できるのですが、「農家住宅」の要件に当てはまらないと証明書を発行してもらえないので、許可と同等の審査を受けることにはなります。

 

立て替え

そして、もう1つ建物を建てるのに、開発許可を要しないものとして「立て替え」があります。

線引き前から建っている住宅の建て替え、線引き後に正規に許可を取って建てた住宅の建て替えです。

この建て替えは都市計画法の許可不要で、そのまま建物の建築確認申請が可能です。

同程度の規模である必要はあります。

 

まとめ

今回は、「分家住宅」に続いて、市街化調整区域に住宅の建築が可能な場合をご説明しました。

「やむを得ない自己用住宅」「既存宅地」「適用除外」

他にも許可の基準がありますが、これらが建築できるケースの大部分を占めています。

市街化調整区域は、土地の価格も税金も安くて、閑静な環境であることが多い立地です。

もちろん、規制が多く、よい面ばかりではありませんが、市街化調整区域に住宅を建てるメリットは多いのです。

自分の条件に合った場合、検討されてみてはどうでしょうか。

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