消費者トラブルの一つに「副業詐欺」があります。
どういった手口で、詐欺に繋がるのか、ご説明致します。
副業詐欺とは
「副業詐欺」とは、副業を紹介すると言って、お金をだまし取る行為のことをいいます。
副業詐欺の背景
働き方改革も推進され、本業の収入だけでは将来への不安を感じ、副業を始める方が増えています。
せっかく副業を行うのであれば、なるべく高収入の仕事をしたい。
そう思う人をターゲットにして、巧妙な手口で仕事の紹介をして来ます。
楽して稼ぎたい気持ちにつけ込まれる
楽して稼ぎたいと思うのは、人情ですが、いい話は、そこら辺に転がっているモノではありません。
でも、空き時間に簡単な作業をするだけで、月に数十万円の収入を得ることができるという話は、大変魅力的に思えてしまいます。
やはりからくりがあって、紹介された仕事をするには、最初に払えないことはない金額を支払わせるように、仕向けられます。
数万円から数十万円のお金を払い込んだ後も、何かしらの理由をつけて、仕事を紹介されることは、ほとんどありません。
そして、その内相手への連絡も一切取れなくなってしまうのです。
副業詐欺の動向
以前は、「内職商法」や「モニター商法」と同様に、「販売業者の商品を購入すると、販売業者がその商品を使用した仕事(内職)を提供する」というような、商品販売の取引がおおかったのですが、現在はSNSを利用した副業詐欺が横行しています。
内職商法とは?
「在宅で仕事をしませんか」「在宅ビジネスで高収入」などとダイレクトメールやチラシ広告、インターネット上の広告などで希望者を集め、仕事のために必要だとして高額な機材や検定試験のための教材を買わせる商法です。
実際には、仕事はほとんどなかったり、対価が支払われないなどのトラブルが多いようです。
モニター商法とは?
「モニターになれば報酬があります」などと勧誘し、モニター料を代金の支払いに当てることを条件に、商品・サービスを無料や格安で提供すると思わせて、商品などを契約させる商法です。
しかし、いずれにしても多額の収入を餌にして、金銭の支払いを要求するといった点では共通しています。
業務提供誘引販売取引
副業詐欺は、「特定商取引法」で規制されている「業務提供誘引販売取引」に当たるものがほとんどです。
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引での消費者は、保護されています。
SNS副業詐欺の特徴
「楽して100万円」
「隙間時間で60万円」
「自動化して一日数回ボタンを押すだけ」
「スマホひとつで権利収入」
よくSNSの投稿やDM(ダイレクトメッセージ)でこういったフレーズを目にします。
もちろん、本来の用途で正規にSNSを運用して、アフィリエイト等で、正規に収益を上げ成功している方もおられます。
しかし、もしかしたらこういった誘い文句の話は、詐欺かもしれません。
やってみたいと考えていても、実際に事業を起こすのは、副業とは言えハードルが高いなぁって、思っている人も多くいます。
でも、中には、スマホで簡単に稼ぐことができるなら、始めてみたいという人も多くいるのです。
運営元をしっかり確認して、大手が管理しているサイトであるか等、確認することが大切です。
投稿の具体例
「はじめまして。ずっと副業をしたいと思っていたので、SNSで募集されていた副業をはじめました。
始めた副業は、初期費用5万円のもので、コピペ系のものです。
メルカリやフリルを介して、何十万円も稼げるようでした。」
こうやって紹介される副業の内容は、本当なのでしょうか。
ネットの副業といってもたくさんあって、株やFXなどのトレードものや、ウェブサイト制作や動画編集といったもの。
趣味や特技を活かしたもの。
ブログでのアフィリエイト。
製作系やイラストの提供。
と様々です。
しかし、ネット副業のなかには、残念ながら怪しい事業者がいることも事実です。
「1日で〇万円確実に稼げる」「短時間で高収入」といった、うたい文句であるものは、疑ってかからなくてはいけません。
そういった仕事は、以下の様な特徴があります。
簡単な仕事で誰でもすぐにできるもの
たくさん稼げることを強調しているもの
無料と言っておきながら実は費用を請求してくるもの
SNS副業詐欺の手口
SNS副業詐欺 は、ダイレクトメールや不当な広告表示によって、標的になる人物を釣り上げます。
「1日で〇万円確実に稼げる」「短時間で高収入」といったうまい言葉で、巧みに応募者を集めるのです。
副業の応募者から連絡を来たら、「登録会員にはお金がかかります」とか「予備知識なしでは、始められないから、まず勉強して欲しい。
まずは、このマニュアルを購入しましょう」という話が持ちかけられたりします。
こういった初期費用を支払った後に、お金を稼ぐことができずに、紹介してくれた業者が逃げて連絡がつかなくなるという被害が、副業詐欺の手口です。
よくある初期費用の名目
まず応募者を安心させ、お金を払わせるために、下記の様ないろんな名目で納得させます。
- マニュアル書や参考書などの代金
- 情報料
- サイト利用料
- 自動ツールの購入費用
- 会員登録料
- 入会金
- 紹介料
- 事務手数料
あたかも正当な費用であるように装って、場合によっては「利益が出なければ、料金は全額返還します」などとも言って、相手を安心させます。
SNS副業詐欺の特徴
SNSに限りませんが、副業詐欺には、以下の様な特徴があります。
- 儲け話を持ちかけられる
- お金の支払いや個人情報の入力などが求められる
といった共通点です。
特に、仕事の紹介と引き換えにお金を求められた場合は、ほぼ詐欺だと考えて間違いありません。
副業詐欺のDMの実例
SNSの副業詐欺では、DM(ダイレクトメール)が送られてくるとお伝えしました。
実際にどのようなメールが送られてくるでしょうか。
SNSのDMの一例
プロフィールや投稿を拝見させて頂いたのですが、○○○○をされているのですね。私も日頃意識していることが多く大変参考になり、親近感が湧きました。
私はフリーで、働き方に関する情報発信の仕事をしています。 その流れで、パソコン1つでセミリタイアされた経営者の方と知り合い、彼が立ち上げたコミュニティ事業に携わっています。
その事業では、 『ネットを活用して、場所や時間に縛られずに働きたい』 とお考えの方に、ネットで収入を得る方法を学びながら、長期的な資産も構築していける仕組みを展開しています。
この仕組みは、○○○さんの働き方にもマッチするのではないかと感じており、普通なら初対面でDMでお話しすることはあまりないのですが、投稿を拝見し一緒に活動したいなと感じました。
ご興味あれば、このまま事業詳細をお伝えいたしますがいかがでしょうか?
こういった内容の情報商材を購入した被害者が、自分の投下資本を回収しようとして、他の参加者に応募を募り、被害者が拡大していきます。
これは、TwitterのDMですが、購入したテンプレートを利用して、次々にDMを送っている様子が分かります。
この方は、似た名前でいくつかのアカウントを作っており、同じような作業を繰り返しすぎて、失敗している例です。
情報商材を購入して被害にあった人が、次は加害者側にまわり被害者を増やして、どんどん被害が連鎖していきます。
副業詐欺の類型
副業詐欺もたくさんの類型があり、どれも巧妙に考えられています。
「内職斡旋詐欺」
内職を紹介されますが、品質が悪いなどの難癖をつけられ、約束通りの値段では引き取ってくれません。
「会員登録詐欺」
高収入の仕事をあっせんすると謳い、高額の会員登録料を払わせても、仕事が紹介されることはありません。
「資格取得詐欺」
難関資格に合格すれば、仕事を紹介するといいって、高価な教材を売りつけます。
「ホームページ製作詐欺」
ネットショップ等を持ちかけられ、ホームページの制作料を取りますが、利益が上がることはまずありません。
「ポイントサイト詐欺」
絶対に儲からない仕組みになっているポイントを買わせます。
「情報商材詐欺」
あたかも大もうけできる手法が書かれているといって、教材を買わせますが、たいした内容は書いてありません。
「マルチ商法詐欺」
加入者が別の消費者に商品を売って組織に加入させてマージンを受け取りますが、儲かるのは上部の人間だけです。
副業詐欺の誘い文句
内容によって、手法を変え、あの手この手で誘ってきます。
誰でもできる簡単なお仕事
スマホ1台で簡単に稼ぐことができるアフェリエイト事業をしている〇〇〇〇と申します。事業を一緒に盛り上げてくれる20歳以上の方を募集しています。
もし、興味があればご連絡ください。
メンバー募集にも限りがありますので、ご興味を持って頂けたらご連絡ください。
スキマ時間にスマホを触るだけで、簡単に儲かります。
自動化ツールのモニター体験
システム開発をしているものですが、SNS自動ツールを開発しました。
モニター体験していただいた方には御礼として謝礼をお支払いいたします。
投資の勧誘
バイナリーオプションという投資のレクチャーを行っています。
現在、生徒数は200名以上いて、勝率は90%となっています。
全く経験がない方でも、レクチャーを受けることによって、確実にお金を稼ぐことができます。
もし、興味を持っていただけたら、お気軽にへご連絡ください。
防衛策・対応策
副業をする際は、間違いないがない確かな相手を選ばなくてはなりません。
騙されないようにするために、いくつかポイントをピックアップしてみました。
信頼できる求人サイト・人材紹介を活用する
信頼できない紹介元の情報は利用せず、本当に信頼できるサイトかどうか確認してから、仕事を紹介してもらうようにしましょう。
評判を確認する
SNSで副業の話を持ち掛けられたときは、事業者や運営会社の評判をインターネットで検索してみて下さい。
評判が出てこないものは論外ですが、クチコミは利用者の真実の声なので、企業側の情報より信頼できます。
個人情報を明かさない
Facebookの様に、相手の背景が分かりやすいSNSもありますが、基本的に相手がどんな方か、分かりません。
SNS上の相手には、個人情報を簡単に教えないことが、詐欺被害に巻き込まれないための予防策です。
お金を払わない
仕事の紹介の引き換えにお金を求められたら、まず詐欺です。
引き返せなくなる心情になってしまうこともあるので、手を引きましょう。
DM(ダイレクトメール)に気をつける
折角メッセージをくれた相手に失礼があってはいけないと、いい返事をしてしまうかもしれません。
相手の真意を注意して見極めるよう心がけないといけません。
うまい言葉を信用しない
簡単に儲かる話があったら、みんな苦労はしていません。
何か仕掛けや裏があると思って、対応してください。
お金を支払う前に書面で確認する
多額のお金が必要になることをあらかじめ明示しない。
無料モニターや研修を通じて反響が大きいことをアピールする。
契約時になって突然、多額のお金の支払を求める。
こんなことにならないよう、書面で説明を求めましょう。
まとめ
SNSは楽しいですが、利用者の中には、悪い事業者も紛れ込んでいます。
必要な知識を身につけて利用しないと、折角の楽しいツールが台無しになってしまいます。
SNSに、あたかも自分自身が副業で利益を上げているような投稿をし、興味を持った消費者を広告用のウェブサイトに誘導する事業者が介在しています。
事業者に限らず、副業に関する個人の投稿も十分注意してください。
自己防衛が第一ですが、もし被害にあったときは、早期に専門家へ相談する方が、被害の拡大を防ぎ、損害を取り戻せるかもしれません。
世の中はたくさんの便利なツールがありますが、使われないで上手に扱いたいですね。