起業の雑学

投資や取引にも使われる株式の役割とは?その権利義務を解説します!

2020年6月8日

「株式」とは、株式会社における社員権のことを言います。

前回説明したように「社員」というのは出資者のことですから、株式は株式会社における出資者としての権利を表すものと考えてください。

会社の事業を運営するためには資金が必要です。

会社はその資金を調達するために金融機関から融資を受けたり、債券を発行したりとさまざまな手段を用いますが、出資者を募る「株式」の発行はその資金調達手段のひとつです。

また、株式は、種類ごとに均等に細分化された割合的単位の形をとる点に特徴があります。

株式は議決権のないものなど複数種類のものを発行することができますが、同じ種類の株式であればその内容は均一となります。

「会社法」では株式にはルールを設けており、出資者を守ると同時に会社との関係性を以下の様に細かく定めています。

 

株主平等の原則

会社法では「株式会社は、株主をその有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」と規定されています。

これを「株主平等の原則」と呼びます。

議決権や配当請求権が持株数に応じて与えられるのも「株主平等の原則」の表れです。

これに対して持分会社では、どれだけ出資をしていても、定款で別段の定めをしていない限り、議決権は一人一票しかありません。

 

株式譲渡自由の原則

株主はその有する株式を原則として自由に譲渡することができます。

株式会社においては、株主は「間接有限責任」を負うのみとされます。

つまり、会社の債権者は株主に対して直接に債権の履行を請求することはできず、会社財産に対してしか請求できません

そのため、株主の側にも出資の払戻しが原則として認められていません。

出資の払戻しができない分、株主には資金回収の方法が必要となりますし、債権者や会社にとっても会社財産が確保されていれば株主の個性は問題とならないため「株式譲渡自由の原則」が認められています。

 

株式の種類

 株式は複数の種類のものを発行することができます。発行するためには所定の手続を経ることが必要です。

 

普通株式

一般的に「株式」といわれているものが、これに当たります。

権利内容に何ら制約のない標準となる株式です。

 

種類株式

この普通株式とは別の「権利の内容が異なる株式」ことをいいます。

種類株式のタイプとしては下記のようなものが代表的です。

 

譲渡制限株式

譲渡に関してその会社の承認が必要である株式です。小規模な会社にとっては、組織構成の緩和や役員任期の伸長等、様々な優遇を受けられるようになります。

 

優先株式

剰余金や残余財産の分配に関して他の株式よりも優越する内容となる株式。

反対に劣後する内容のものは「劣後株式」と呼ばれます。

 

議決権制限種類株式

株主総会の決議事項の全部又は一部について、議決権を行使することができない株式。

会社の経営にはまったく興味がなく、配当収入などの利益のみ興味がある投資家向けに発行されます。

 

議決権制限株式

株主総会での議決権の全部又は一部が制限された株式。

議決権の全部が制限された株式は特に「無議決権株式」と呼ばれます。

 

株主の権利

株主には、大まかに以下の権利があります。

 

経営参加権

株主総会で、所有株数に応じて議決権を行使する権利。

会社の重要な経営方針などを決める株主総会に出席し、決議に参加して賛成反対を述べる表決権を持ちます。

 

配当請求権

配当金などの利益の分配を受ける権利です。

 

残余財産分配請求権

会社が解散するときに、残った会社の財産を分配して受け取る権利です。

 

新株引受権

新株を引き受ける権利です。

新たに株式が発行される場合に既存の株主が新株を手に入れることができないと、株主自身が持っている決定権の比率が下がってしまいます。

出資する機会を与えて、既存の株主を無視する新株発行を制限しています。

 

これらの権利を得ると同時に、株主には義務も生じます。

それは「株式の引受価格を限度とした出資義務」、つまり会社の金銭債務などを支払ったり、追加出資する必要はなく、出資した額以上に損することもないという意味です

裏を返せば、株価が下がっても出資額(株式購入価格)以上に損はしないが、仮に会社が倒産したら出資したお金は戻らない、ということでもあります。

資金集めの側面から

もともと株式会社は、多数の人から出資を集めて事業を行うという側面があります。

出資が集まりるほど資金が多くなり、より大きな投資をして事業を運営できるので、大きな利益を生み出すことができます

すると出資者により多く利益を配当できることになるのです。

上場会社で株価が上がれば、株式を発行して資金調達するときの1株あたりの金額も大きくなるため、より有利な資金調達が可能になります

上場していない会社にとっても、企業価値の増大(基本的には貸借対照表の「純資産の部」の額の増大)は、金融機関から融資を受けるような資金調達をする場合に融資額や金利面で有利となります

 

意思決定を有利に運ぶ側面から

株式会社の意思決定は、株式が集まる株主総会で行われます。

このときにたくさん株式を持っている人が、一番決定権があります。

株主の人物像でも声の大きさや人数ではなく、持っている「株式(議決権)」により決議されます。

会社の経営権の強さが株式数で決まるということは、上場会社においては、出資金額で決まるのではないことを意味します。

それは、証券取引所に上場している会社の株価の変動を見れば明らかです。同じ金額でも時期によって取得できる株式数は、相場により変動します。

株価が上昇するほど1株を取得する金額が増えるため、その会社を買収しようとする者が表れたときに、より多くの資金調達が必要となる事からも会社を防衛することにも繋がります

また、株価が上昇すれば、株式を発行して資金調達する場合に1株あたりの出資額が増えるので、少ない株式数で標資金を調達できることになり、既存の株主が自信の持株比率の低下を最小限に押さえることができます。

経営陣の決定権の維持をしやすくできます

会社は株主によって構成される株主総会の他にも取締役をはじめとして、取締役会、監査役、会計監査人など様々な種類の機関があります。

 

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