相続・遺言・登記

令和2年4月1日に改正された「特別養子縁組」という制度

2020年4月30日

人口減少超高齢化は、経済成長率を低減させることが懸念されていて、こども達が大人になったときに、いったいどんな社会になっているのか分かりません。

当然生産年齢人口が減っていけば、生産性が落ちるに決まっているので、こどもの数が増えないことには、根本的な解決は難しいのだと思います。

とは言え、昔とは時代が変わり、考え方も変化があったせいか晩婚化や未婚率の上昇という、こどもが増えない要素の方が多いのです。

経済が潤わない限り、結婚に二の足を踏むのも仕方がないのかもしれません。

こどもを授かる年齢には限界がありますが、やはりこどもがいる家庭の方が、生活に明るさやハリをもたらしてくれると思います。

そんなことを考えながら、ふと思いを巡らすと、人口増加とは別の話ですが、こどもを養子に引き取る話ってまわりでもあまり耳にしないなぁと思いました。

もちろん言いふらす様なことではないので、全くいないことはないのでしょうが、犬猫をもらうのと訳が違うので、何か特別な事情でもない限り引き取れるものではないと思います。

相続税対策で孫を祖父の養子にしたり、伯父叔母の養子になるというケースは、たまに見かけますが、再婚相手の実子でもなければ、なかなかないかもしれません。

僕の叔母が正にそのケースで、自分の叔母さんの養子になって大きくしてもらったそうです。

でも、世間には事情を抱えたこどもが多いのも事実で、こどもが欲しい方へ橋渡しをしている団体もいくつかあります。

厚生労働省の許可を得て運営している団体で、全国各地とは言えませんが、あちこちにあるようです。

生みの親より育ての親と言いますが、子供からしたら実の親と思い込んでいた方が、やはり幸せで余計な悩みもなく幼少期を過ごせると思います。

その子が大きくなって、進学、就職、結婚等で自分の戸籍を見たときに、養子縁組という文字が入っていたら、ショックが大きいはずです。

 

特別養子制度

アメリカや他の海外の国では、養子を設けることが一般的な国もありますが、日本は閉鎖的な気質上そんな文化はない為か、昭和61年から戸籍上で養子ということが分かりにくい「特別養子」という制度が実施されました。

こんなダイヤル知りませんでした。

 「普通養子」は、養子が年上であるとか尊属(親や祖父母)であるといった場合にできないだけで、結婚と同じく証人が2人必要ですが、市役所行って「養子縁組届」を出せば、すぐに親子になれます。

それに対し「特別養子」は成立の要件が厳しく定められています。
「特別養子縁組」の成立には、父母による養子となる子の監護が著しく困難又は不適当であること等の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると家庭裁判所に認められる必要があると決められています。
「普通養子」の場合でも未成年の子を養子に設けるには、家庭裁判所の許可が必要です。

 

映画「八日目の蝉」を思い出しました。グッときます。よければ、見てみて下さい。

特別養子の要件

法務省のリーフレットから引用しました。

実親の同意

養子となるこどもの父母(実父母)の同意が必要です。

ただし、実父母がその意思を表示できない場合や実父母による虐待、悪意の遺棄(放置)その他に養子となるこどもの利益を著しく害する事由がある場合は、実父母の同意が不要となることがあります。

 

養親の年齢

養親となるには配偶者のいる方(夫婦)でなければならず、夫婦共同で縁組をすることが必要です。また、養親となる方は25歳以上でなければなりません。

ただし、養親となる夫婦の一方が25歳以上である場合、もう一方は20歳以上であれば養親となることができます。

 

養子の年齢

令和2年4月1日に改正法が施行され年齢が引き上げられました。

養子になるこどもの年齢は、養親となる方が家庭裁判所に審判を請求するときに15歳未満である必要があります。

ただし、こどもが15歳に達する前から養親となる方に監護されていた場合には、こどもが18歳に達する前までは、審判を請求することができます。

養子になるこどもが15歳に達している時には、本人の同意も必要です。

 

半年間の監護

縁組成立のためには、養親となる方が養子となるこどもを6ヵ月以上監護していることが必要です。

そのため、縁組成立前にこどもと一緒に暮らした後、その監護状況等を考慮して、家庭裁判所が特別養子縁組の成立を決定することになります。

以上の様に厳格に決まっていて、養子が成人しても協議離縁はできず、家庭裁判所での審判離縁も養親からは申し立てることができません。

その代わりと言っては何ですが、「普通養子」では実親、養親双方の相続人になるのに対し、「特別養子」では、実親との親族関係は切れ、相続とか扶養は養親だけとの関係になります。

また、戸籍上でも「普通養子」は、父母欄に実父母、養父母、双方が併記されますが、特別養子の場合は、実子と同じ記載がなされるので、一見して分からないような配慮がされています。

でも、よく見ると「民法817条の2による裁判確定日」という記載が入っているので、気になって調べたら分かってしまうのが惜しいです。

若いときは見ても何か書いてあるなぁ。みんなの戸籍にも書いてあるのだろうと思って調べないかもしれませんが、この記載は転籍しても結婚しても常に記載されるので、いつか分かってしまうんでしょうね。

ネットがない時代で簡単に調べることができなかった場合と違って、便利さも良し悪しです。

でも、住民票には記載されないので、よほどの機会がないと目にしないかと思います。

僕の母は既に他界しておりますが、昭和一桁生まれの上高齢出産で産んでくれましたので、周りの友達よりも余計に「昭和のおかあさん」でした。

よく悪いことをすると「おまえは橋の下で拾った子なんだぞ」って、言われた側がめちゃくちゃ傷つくことを平気で言ってくれました。

今ではそんなこと言う親はいないでしょうけどね。

母親なりの冗談を真に受けるほど純粋でもなかったのですが、高校生の時に市役所へ行く用事があって、思いつきで自分の戸籍を取ってみたことがあったんです。

すると、ちゃんと実の子でした。

まったく疑っていないくせにちょっとドキドキしたのを覚えています。

つい目の前に映る事柄ばかりに心を奪われてしまいますが、少しだけ気持ちを物事の背景やすぐには見えない事象に傾けると色々なことが見えてきます。

全てが関係していて、自分の見えている世界以外の成り立ちで、幸せな暮らしをさせてもらっていることに心を置きながら、日々を過ごしていきたいですね。

哲学には詳しくありませんが、マルクスみたいに世界は存在しないなんて難しいこと考えてると幸せに生きにくいのかもしれません。

全く考えがないのも問題ですけどね。自分に取って大事なところだけは考えていくとしよう。

 

 

 

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