起業の雑学

株式会社の機関設計|取締役1人から始める場合と役員任期の基本

小規模な株式会社では取締役1人で設立できる場合があります

公開会社でない株式会社では、会社の規模や定款の内容に応じて機関設計を選べます。すべての株式会社に取締役会や監査役が必須というわけではありません。

役員任期を「一度決めたら終わり」にしない

株式会社の取締役の任期は原則2年ですが、非公開会社では定款で最長10年まで伸長できる場合があります。任期満了時には重任する場合でも登記が必要です。

法務局:商業・法人登記のよくある質問

長い任期にもデメリットがあります

登記回数を減らせる一方、途中で役員関係が変わった場合の対応も考える必要があります。共同経営では、任期・解任・代表権・株式保有までセットで設計します。

2020〜2021年公開時の記事を参考として読む
ここから下は公開当時の記録です。

制度・料金・サービス・実務は現在と異なる場合があります。現在の情報は、このページ上部の2026年更新部分を優先してください。

会社はどういった機関で構成されているのか、組織改編等、大きな動きをする行為にはどういったものがあるのでしょうか。

 

会社の機関

株式会社には、株主総会や取締役をはじめとして、取締役会、監査役、会計監査人など様々な種類の機関があります。

会社は機関設計の最低限の規律を守りながら、それぞれの企業実態に応じて必要な機関を選択し、組織を構成していくことになります。

 

株主総会

「株主総会」は株式会社の最高意思決定機関であり、取締役や監査役の選任解任など、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関です。

株主総会には、決算期ごとに開催される「定時総会」と、必要に応じて随時開催される「臨時総会」があります。

株主総会の決議は「議決権の過半数」等の決議要件に従うこととなります。

基本となる「普通決議」の他、重要事項を決定する際にはより決議要件の厳しい「特別決議」「特殊決議」が必要となる場合があります。

 

普通決議

会社法または定款で特別な定めがない場合は、この普通決議により決議します。

普通決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決められます。

普通決議の定足数は、定款で定めると加重、軽減、排除することができます。

決議に必要な数(表決数)についても加重することができますが、軽減することはできません。

ただし、役員(取締役、会計参与、監査役)の選任・解任決議については、「定足数」を総株主の議決権の3分の1未満に引き下げることはできません

 

特別決議

会社にとって重要な議題については株主総会の「特別決議」を要します。

特別決議の定足数は普通決議と同様に議決権の過半数で、表決数は出席株主の議決権の3分の2と定められています。

定足数は3分の1まで減少させることはできますが、排除はできません。表決数について加重はできますが、軽減はできません。

主なものとして以下の決定については、特別決議が必要とされています。

株主の権利に関係する決議が多いです。

 

特殊決議

 以下の重要な決定の場合に特殊決議を要します。

特殊決議に定足数は存在せず、議決権を行使できる株主の頭数で半数以上、かつ全議決権の3分の2以上の賛成を要します。

これらの頭数要件と表決数は定款で加重することができます。

さらに要件の厳しい特殊決議を要する場合があります。

非公開会社における株主ごとに議決権、剰余金などの扱いを異ならせる定款規定を置くときです。

この場合、総株主の半数以上かつ議決権の4分の3の賛成を要する必要があります。

 

取締役、取締役会

取締役は株式会社の業務執行を行う機関です。

また、取締役会は3人以上の取締役によって構成され、代表取締役の選任をはじめ重要な業務について意思決定を行う機関です。

株式譲渡制限がある会社だと、取締役会を置く必要がなくなるので、取締役の数は1名でも構いません。その場合、1人の株主が取締役も兼ねる「1人株式会社」を設立することもできます。

これが最小限の会社組織構成の場合になります。

 

監査役、監査役会

取締役の職務執行や会社の計算書類を監査する機関です。

監査役会は3人以上の監査役(うち半数以上は社外監査役)で構成され、監査方針の決定や監査報告の作成などを行う機関です。

株式譲渡制限がある会社だと、取締役会がない場合等、一定の条件を満たす場合には、監査役を設置する義務はありません。

 

会計参与、会計監査人

会計参与は会社法において新設された機関で、取締役と共同して計算書類の作成などを行う機関です。

また、会計監査人は主に大企業において計算書類等の監査を行う機関であり、会計監査人の資格は公認会計士または監査法人に限定されています。

 

委員会

主に大企業において機動的な経営と実効的な監督を可能にするために設けられた機関です。

指名委員会・監査委員会・報酬委員会から構成されます。平成26年の改正から、従来の3委員会に代えて、監査等委員会のみを置くことも認められました。

 

組織全体に関わる行為

会社法には組織全体に関わる規定として、設立や解散・清算といった項目が設けられおりますが、他にも下記のような規定があります。

 

合併

合併とは2以上の会社が一つの会社になることを言います。

合併には当事企業の一方が存続する「吸収合併」と消滅会社の権利義務がすべて新設会社に承継される「新設合併」があります。

 

会社分割

会社分割とは会社がその事業の全部または一部を分割し、別の会社に承継させることをいいいます。

会社分割には、新たに設立する会社に承継させる「新設分割」とすでに存在する別の会社に承継させる「吸収分割」があります。

 

株式交換・株式移転

「株式交換」はすでに存在する株式会社2社の株式を交換することにより、一方を完全親会社、他方を完全子会社とする事業再編方法の一つです。

これに対して、「株式移転」は1または2以上の会社が自社の株式を移転することによって、完全親会社を新設する事業再編方法です。

これらの手法は「持株会社(ホールディングカンパニー)」を作るためにも利用されます。

 

増資・減資について

会社が保有すべき純資産額を示した計算上の金額を「資本金」と呼びます。

会社法上、資本金には最低金額がないので、資本金が1円でもあれば、会社を設立できます。

金銭出資が0円での会社設立はできません。

この資本金を増加させる手続を「増資」、減少させる手続を「減資」と呼びます

「増資」はその募集事項の決定を株主総会から取締役会に委ねることができます。

これに対して、株主や債権者により大きな影響を与える「減資」の場合には原則として「株主総会決議」「債権者保護手続」が必要となります。

 

起業と経営に必要な手続きと法律 表紙

2026年改訂

起業と経営に必要な手続きと法律

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会社設立・契約・会社経営に関する制度や実務を2026年時点に合わせ、会社の健康診断、90日計画シート、実務判断ケースなどの付録も備えた内容へ再整理しました。

END

最後までお読みいただき、ありがとうございました。