起業の雑学

起業時は取締役1人でOK!株式会社の運営の仕組みと組織構成

 今回は、「会社法」の中でも組織構成に関わる「株式会社の運営の仕組み」についてご説明します。会社がどういった機関で構成されているのか、組織改編等、大きな動きをする行為にはどういったものがあるのかをお伝え致します。

会社の機関

 株式会社には、株主総会や取締役をはじめとして、取締役会、監査役、会計監査人など様々な種類の機関があります。会社は機関設計の最低限の規律を守りながら、それぞれの企業実態に応じて必要な機関を選択し、組織を構成していくことになります。

株主総会

 「株主総会」は株式会社の最高意思決定機関であり、取締役や監査役の選任解任など、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関です。株主総会には、決算期ごとに開催される「定時総会」と、必要に応じて随時開催される「臨時総会」があります。

 株主総会の決議は「議決権の過半数」等の決議要件に従うこととなります。基本となる「普通決議」の他、重要事項を決定する際にはより決議要件の厳しい「特別決議」「特殊決議」が必要となる場合があります。

普通決議

 会社法または定款で特別な定めがない場合は、この普通決議により決議します。普通決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数で決められます。

 普通決議の定足数は、定款で定めると加重、軽減、排除することができます。決議に必要な数(表決数)についても加重することができますが、軽減することはできません。

 ただし、役員(取締役、会計参与、監査役)の選任・解任決議については、定足数を総株主の議決権の3分の1未満に引き下げることはできません

「定足数」とは、株主総会で議決するために必要な、最小限度の出席人数です。

特別決議

 会社にとって重要な議題については株主総会の「特別決議」を要します。特別決議の定足数は普通決議と同様に議決権の過半数で、表決数は出席株主の議決権の3分の2と定められています。定足数は3分の1まで減少させることはできますが、排除はできません。表決数について加重はできますが、軽減はできません。

 主なものとして以下の決定については、特別決議が必要とされています。株主の権利に関係する決議が多いです。

  • 譲渡制限株式の買取決議
  • 特定の株主から自己株式を取得する旨、その条件の決定
  • 全部取得条項付種類株式の取得の決議
  • 株式の併合の決議
  • 募集株式、新株予約権の募集事項の決定(非公開会社のみ)
  • 募集株式の第三者割当の場合の有利発行
  • 募集株式・募集新株予約権の募集事項の決定を「取締役等に委任」する決議
  • 「累積投票で選任された取締役」「監査役」を、解任する決議
  • 非公開会社において、新株予約権付社債を発行する決議
  • 役員等の損害賠償責任を一部免除する決議
  • 資本金を「減少」する決議
  • 金銭以外の財産を配当し、かつ金銭分配請求権を与えないこととする場合

特殊決議

 以下の重要な決定の場合に特殊決議を要します。

  • 全部の株式に譲渡制限をかける旨の定款変更
  • 吸収合併契約等の承認
  • 新設合併契約等の承認

 特殊決議に定足数は存在せず、議決権を行使できる株主の頭数で半数以上、かつ全議決権の3分の2以上の賛成を要します。これらの頭数要件と表決数は定款で加重することができます。

 さらに要件の厳しい特殊決議を要する場合があります。非公開会社における株主ごとに議決権、剰余金などの扱いを異ならせる定款規定を置くときです。この場合、総株主の半数以上かつ議決権の4分の3の賛成を要する必要があります。

取締役、取締役会

 取締役は株式会社の業務執行を行う機関です。また、取締役会は3人以上の取締役によって構成され、代表取締役の選任をはじめ重要な業務について意思決定を行う機関です。

 株式譲渡制限がある会社だと、取締役会を置く必要がなくなるので、取締役の数は1名でも構いません。その場合、1人の株主が取締役も兼ねる「1人株式会社」を設立することもできます。これが最小限の会社組織構成の場合になります。

 株式に譲渡制限規定があると受けられるメリットについては、下記の記事に詳しく記載しておきました。目次の「4.譲渡制限規定の必要性」をご覧下さい。

監査役、監査役会

 取締役の職務執行や会社の計算書類を監査する機関です。監査役会は3人以上の監査役(うち半数以上は社外監査役)で構成され、監査方針の決定や監査報告の作成などを行う機関です。

 株式譲渡制限がある会社だと、取締役会がない場合等、一定の条件を満たす場合には、監査役を設置する義務はありません。

会計参与、会計監査人

 会計参与は会社法において新設された機関で、取締役と共同して計算書類の作成などを行う機関です。また、会計監査人は主に大企業において計算書類等の監査を行う機関であり、会計監査人の資格は公認会計士または監査法人に限定されています。

委員会

 主に大企業において機動的な経営と実効的な監督を可能にするために設けられた機関です。指名委員会・監査委員会・報酬委員会から構成されます。平成26年の改正から、従来の3委員会に代えて、監査等委員会のみを置くことも認められました。

組織全体に関わる行為

 会社法には組織全体に関わる規定として、設立や解散・清算といった項目が設けられおりますが、他にも下記のような規定があります。

合併

 合併とは2以上の会社が一つの会社になることを言います。合併には当事企業の一方が存続する「吸収合併」と消滅会社の権利義務がすべて新設会社に承継される「新設合併」があります。

会社分割

 会社分割とは会社がその事業の全部または一部を分割し、別の会社に承継させることをいいいます。会社分割には、新たに設立する会社に承継させる「新設分割」とすでに存在する別の会社に承継させる「吸収分割」があります。

株式交換・株式移転

 「株式交換」はすでに存在する株式会社2社の株式を交換することにより、一方を完全親会社、他方を完全子会社とする事業再編方法の一つです。

 これに対して、「株式移転」は1または2以上の会社が自社の株式を移転することによって、完全親会社を新設する事業再編方法です。

 これらの手法は「持株会社(ホールディングカンパニー)」を作るためにも利用されます。

「持株会社(ホールディングカンパニー)」とは、他の株式会社を支配する目的で、その会社の株式を保有する会社のことを言います。他の株式会社の株式を多数保有することによって、その会社の事業活動の指針を決めることを事業としている会社です。

増資・減資について

 会社が保有すべき純資産額を示した計算上の金額を「資本金」と呼びます。会社法上、資本金には最低金額がないので、資本金が1円でもあれば、会社を設立できます。金銭出資が0円での会社設立はできません。

 この資本金を増加させる手続を「増資」、減少させる手続を「減資」と呼びます「増資」はその募集事項の決定を株主総会から取締役会に委ねることができます。

 これに対して、株主や債権者により大きな影響を与える「減資」の場合には原則として「株主総会決議」「債権者保護手続」が必要となります。

「債権者保護手続き」とは、組織再編行為(合併、株式交換、会社分割)や資本金の額の減少などの際に、債務の弁済に影響が出る可能性がある債権者を保護するために行われる会社法上の手続きです。 通常、債権者保護手続きには、1ヶ月の期間が必要だとされていますが、実際には準備等でもう少し期間が必要になります。

分かっている債権者には個別に通知をして、他にも官報公告をしなくてはなりません。この官報公告に、混み具合にもよりますが、けっこう時間のかかることが多いのです。

今回で Ⅱ.「商法、会社法の基礎」編は終了です。次回から Ⅲ.「商取引と契約」編に入ります。その第1回目は「契約書の必要性」について御説明致します。

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