起業の雑学

起業する経営者が最低限知っておくべき「商法」を簡単に解説しました

 前回まで第Ⅰ編「創業の形態(個人、法人)と手続」をご説明してきました。今回からは、第Ⅱ編「商法、会社法の基礎」に入り、具体的な手続きではなく、何気なく行っている日常取引の根底に流れている商取引の理論をご説明したいと思います。

 とは言え、この第2編は、創業時にも運営時にも必要ない知識ばかりになるかもしれません。第1編と重複したり、読みものとしてしかご覧いただけないかもしれませんが、極力役立つ情報を織り交ぜていこうと考えています。

 では第2編の初回は、「商法」についてご説明致します。条文数も果てしないので、ほんの少しだけです。

 「商法」は会社に限らず個人の商事に関する基本的なことを定めた法律です。「会社法」は、元々商法に含まれていたのですが、平成17年に商法が大改正されて商法の第2編「会社に関する内容」や「有限会社法」、「商法特例法」などが統合され制定されました。

 商法は会社に限らず、個人の商人や商号、商業行為といった商事に関する基本的な法律です。

 いろいろな法律がある場合、「特別法は一般法に優先する」という原則があり、民法は「一般法」であり、商法は民法の「特別法」です。民法も商法も似ている取引を対象にしている規定が存在します。例えば、商人同士の売り買いならば商法上の売買規定を適用しますが、商人でない友人と売り買いする場合では民法上の売買規定が適用されることになります。

 また、すべての事項について特別法が規定されている訳ではありません。仮に商人同士で何か問題が起きた場合に、その事例が商法に定められていなければ、民法の規定にしたがって判断しなければなりません。

 例えば、商法の売買規定を見ると、全ては網羅されていません。売買契約に違反したから損害賠償を請求したい場合、その賠償額の範囲については、商法に特別の定めがないので、民法の規定に定められた内容で請求することになります。

 会社法はその商法の更に特別法です。よって会社に関しては、原則会社法に従い、会社法に規定がない場合は商法を適用し、商法にも規定されていないことは民法の定めに立ち返るといった順番になります。

商法の条文を眺めてみるとざっと下記の様に規定されております。

第一編 総 則
第一章 通 則(第一条-第三条)
第二章 商 人(第四条-第七条)
第三章 商業登記(第八条-第十条)
第四章 商 号(第十一条-第十八条の二)
第五章 商業帳簿(第十九条)
第六章 商業使用人(第二十条-第二十六条)
第七章 代理商(第二十七条-第三十一条)
第八章 雑 則(第三十二条-第五百条)
第二編 商行為
第一章 総 則(第五百一条-第五百二十三条)
第二章 売 買(第五百二十四条-第五百二十八条)
第三章 交互計算(第五百二十九条-第五百三十四条)
第四章 匿名組合(第五百三十五条-第五百四十二条)
第五章 仲立営業(第五百四十三条-第五百五十条)
第六章 問屋営業(第五百五十一条-第五百五十八条)
第七章 運送取扱営業(第五百五十九条-第五百六十八条)
第八章 運送営業
第九章 寄 託 ・・・

 上記の様に把握し切れない程の条文がありますが、その規定のほとんどは「任意規定」といって、契約で別段の定めをすれば契約が優先するものです。そのため、意外と商法の規定については、実際に使われることが少ないため、世の中に知られていない部分が多いように思います。

 しかし、どんな取引でもいつも別段の約定をしっかりと交わしているとは限りません。そんなときには、結局法律ではどうなっているのか、商法ではどういった規律をしているのかということに立ち返ることになります。また逆に言えば、商法の規定を知ることによって有効な約款を作成することができるともいえます。

 そのため、会社法務において、商法で商行為がどのように規律されているのかを知っておくことに損はありません。ただ一方で、いくら契約や約款で定めていても、法の精神がそれを許さない場合には契約や約款の適用が否定される場合もあります。例えば、「公の秩序に関する規定」に反する契約条項を定めた場合には、その契約条項が無効となります。そういった当事者が別個に規定を定めても法律の決まりを変える事ができない規定を「強行法規」といいます。

 次回は「商法の規定」をご説明します。商法全体は、あまりに範囲が広いので、「寄託」を具体例に取り上げてお伝え致します。

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