今回は、実際に書類を提出する「申請から完了までの登記申請の流れ」についてご説明致します。
登記申請の流れ
登記申請には、「書面申請」と「オンライン申請」の2つの方法があります。
今後繰り返し継続して、登記申請の予定がないのでしたら、ソフトのインストール等が必要ない、「書面申請」の方が、手っ取り早いです。
よって、書面申請の場合について、ご説明致します。
提出書類を綴じる
必要書類の収集や作成が完了したら、それらの書類をホチキスで綴じます。
その順番が、法律で決められているわけではありませんが、法務局が審査のしやすいような、下記の順番で綴じます。
- 申請書
- 登録免許税納付台紙(申請書と契印)
- 委任状(代理人に依頼する場合)
- 相続関係説明図
- その他の添付書類
原本を返して欲しい場合には、戸籍等は4の「相続関係説明図」を添付して、他の書類は5の添付書類はコピーを付けて下さい。
その際、返却して欲しい原本は、登記申請書とは、別個に綴じるようにし、クリップ等で留めて一緒に提出して下さい。
具体的な順番
遺産分割協議の場合を例として、具体的な書類を綴じる順番は下記のとおりです。
- 申請書
- 登録免許税納付台紙(申請書と契印)
- 委任状(代理人に依頼する場合)
- 相続関係説明図(戸籍等を返却して欲しい場合)
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
- 亡くなった方の住民票除票
- 不動産を取得する相続人の住民票
- 固定資産評価証明書
チェックポイント
提出する前に、下記チェックリストを元に登記申請書類の見直しをしましょう。
- 作成書類の誤字脱字
- 登録免許税の計算
- 押印が全部されているか
- 原本還付や各書類の契印は、申請書の押印と同じか
- 原本還付する書類に「上記は原本と相違ない」旨の記載と押印があるか
登記申請
ここまでの作業を終えると、いよいよ登記申請です。
名義変更をしたい不動産の所在地を管轄する法務局へ持ち込むか、登記申請書を一式郵送で送ります。
不明な点を質問したりできるので、できるなら直接赴いて、提出した方が間違いありません。
遠方や昼間の時間に持ち込めない場合だけ、郵送申請した方が無難です。
窓口に持ち込む場合
法務局によっては、いろんな部署があります。
戸籍や商業法人登記といった窓口があるかもしれませんが、「不動産登記の窓口」を探して下さい。
収入印紙の購入がまだでしたら、このタイミングで購入し、納付台紙へ貼りましょう。
窓口には、係の方が常駐していますので、直接手渡しで申請して下さい。
この際、登記の「受付番号」を教えてもらっておくと、後日の問い合わせや完了書類の受領に便利です。
案内板には、登記完了予定日が掲示されておりますので、一緒に控えておいて下さい。
何も連絡がなければ、この予定日に完了書類を受け取ることができます。
登記完了予定日は、各法務局のサイトでも確認することができます。
郵送で提出する場合
窓口に持ち込む場合と郵送で提出する書類は同一です。
簡易書留やレターパックプラスといった、送付経緯の確認ができるものを利用が必要です。
その際、表面に内容物が分かる様に「不動産登記申請書在中」と赤字で記載して送付します。
収入印紙は、あらかじめ購入し、納付台紙に貼付して下さい。
登記申請書の申請日は、法務局へ届いた日になりますので、日付は空欄で構いません。
もし、不備があった場合、郵送で申請しても補正のために法務局へ行かなければなりませんので、しっかりとチェックしてミスがないことを確認しなければなりません。
また、 登記の完了書類を返送してもらうための返信用封筒も同封して下さい。
大切な書類の返却ですので、「本人限定受取郵便」といった郵便で返送されます。
申請の際には、1,000円分くらいの切手を貼らずに同封し、 登記申請書には、「送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付を希望します」 と記載しないと、返送してもらえないので、必ず記載して下さい。
不動産を取得する方が複数いる場合
不動産の名義を個別に取得する場合は、内容や取得する相続人ごとに登記申請書を作成しないといけません。
窓口での申請でも郵送の申請でも、完了書類を受け取る場合に原則として、本人にしか返却されません。
取り扱いは、法務局によって異なることもありますが、他の相続人の登記も一緒に申請する場合には、受け取る権限を明確にするためにも、相続人の内どなたかが、委任を受けて受領した方が、スムーズです。
法務局から連絡があった場合
審査がなされ不備がなかった場合、法務局から連絡は入りません。
完了した報告の連絡もありません。
連絡があった場合は、何か不明な箇所があったり、訂正を求められる時です。
軽微なミスなら、法務局側で訂正をしてくれる場合もありますが、基本的に自分で訂正しなければなりません。
内容によっては、一度登記申請を取り下げて、再提出しなければならない場合もありますので、事前のしっかりとしたチェックが必要です。
登記完了書類の受け取り
法務局によって処理期間が異なりますが、おおよそ1週間ほどすると登記が完了します。
登記完了後に受け取る書類として、以下の書類があります。
- 登記識別情報通知
- 登記完了証
- 原本還付書類
登記識別情報通知
「登記識別情報」とは、俗に「権利証」と呼ばれる書類です。
以前は、「登記済証」という書面が発行されていましたが、現在は、文書に代えてアラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号が発行されています。
不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定められ、登記名義人となった申請人のみに通知されます。
不動産1筆につき1通。所有者ごとに1通ずつ発行されます。
この登記識別情報通知は、何か他の登記の申請の際に、必要となる情報なので、大切に管理して下さい。
登記識別情報の下部は、折り込み式になっていて、切り取り線で折り目を切り取ると、12桁の符号を読み取ることができますが、あまり目に付かないように剥がさないことをオススメ致します。
登記識別情報通知書が盗まれたり、符号が漏洩した場合には、使えないように失効の申出をすることができます。
その場合、改めて登記識別情報の発行や番号の変更ができませんので、ご注意下さい。
新たに名義変更等をしなければ、権利書がない状態のままとなります。
失効後、何か登記に利用したい場合でも、代替措置がありますので、法務局又は司法書士等の専門家へ御相談下さい。
登記完了証
「登記完了証」とは、登記が完了することを通知する書類です。
上記の登記識別情報通知書のような重要な役割はなく、共有で名義を取得するような場合でも、登記識別情報とは異なり、1通しか発行されません。
今後、何かに使うことはない書類です。
登記事項証明書
これは、完了後に一緒に受け取れる訳ではないのですが、必ず別個に取得して下さい。
法務局も人間が処理する以上、間違えることもありますので、「登記事項証明書」を取得して、どう記載されたかを確認しなくてはなりません。
ほとんどの場合は、指摘してもらえますが、ご自身で作成していた申請書が間違っていても、そのまま登記されてしまうこともあります。
また、中には申請上は間違っていなくても、法務局側のミスで登記簿に間違った記載がされてしまうこともあります。
記載内容の確認は、必ずして下さい。
法務局側のミスなら、職権更正という手続きで直してもらえますが、ご自分の申請上で間違いがあると、自分で更正登記の申請をしなくてはなりません。
まとめ
申請書類の作成ができれば、申請自体は法務局へ提出するだけなので、そんなに難しくはありません。
しかし、内容に不備があった場合に、他の相続人から印鑑をもらい直したり、登記申請のやり直しもありえます。
提出前にしっかりとチェックをしてから、申請するようにして下さい。