相続・遺言・登記

相続登記の基礎知識と相続登記をしなかった場合にどうなるか

2020年7月24日

実際に登記申請をする前に、もし、相続登記をしなかった場合にどうなるのかについて、登記の基礎知識と共に解説致します。

 

相続登記とは

「相続登記」とは、不動産の所有者が亡くなったときに、不動産の名義が変わったことを国に登録することをいいます。

相続を含め名義変更を行う「登記」とは、不動産の場所や広さ種類といった情報を管理している「法務局」に、物理的な変更や権利的な変更があった場合に情報の登録をすることをいいます。

最近は馴染みが薄くなっていますが、法務局のことを「登記所」とも読んでいました。

相続登記をするためには、法務局へ必要な書類をそろえて、形式の決まっている登記の申請書を作成して申請します。

すると不動産の所有名義が、亡くなった方から相続人に変わります。

 

相続登記の期限

相続登記は法律上の期限はありません。

相続登記をしないで放置していても、罰則もありません。

ただし、手続きが難しくなる場合がありますので、早めに済ませておいた方が得策です。

但し、相続登記自体とは違いますが、相続放棄は3ヶ月。

相続税申告は10ヶ月といった期限が定められているものもあります。

 

相続登記の申請先

「法務局」へ申請書を提出しますが、名義を変更したい不動産が所在している場所を管轄している法務局へ申請しなくてはなりません。

一昔前は、かなりの数の法務局の支局や出張所がありましたが、今では大まかに半分くらいになっています。

事前に法務省のホームページで確認が必要です。

相続登記にかかる費用

自分で登記をする場合に必要な費用は、登記事項証明書や戸籍等の相続書類といった、申請に必要な書類を取得する実費。

その他に不動産の固定資産税評価額の0.4%が、登記に必要な「登録免許税」として納付が必要になります。

相続関係が複雑でなければ、戸籍の取得費用は5,000円から1万円程度です。

登録免許税は、不動産の場所や価値、大きさによります。

登録免許税の根拠になる評価額は、固定資産税の納付書や固定資産税評価証明書に記載されています。

 

相続登記の必要性

先ほど相続登記には期限がないと記載しましたが、早めに名義変更をしておかないと様々な不利益を被る可能性があるので、早めに相続登記をすることを強くお勧めします。

所有者不明土地問題という言葉を耳にしたことはないでしょうか。

東日本大震災の復興でも土地所有者が相続による名義変更をしていないことがネックになっています。

他にも様々な理由から、相続登記が義務化され登記期限も厳密に設けられる検討がなされています。

 

相続登記をしていないときに起こること

もし不動産を売りたい場合や、担保に入れてお金を借りたい場合に、亡くなった方名義のままでは、手続きをすることができません。

名義が変わっていないということは、不動産が誰のものになるか決まっていないということですので、手続き自体はもちろん、買う人もお金を貸す人も話を進めることができません。

登記は義務ではありませんが、登記をしないまま放置をしておくと後々大変な事態になることもあります。

亡くなった方の不動産を売却したくても、その方が相続登記を済ましていないと縁が遠い方にも協力をしてもらわないといけません。

 

よくある事例

例えば、父親が亡くなって登記の名義を調べてみたら、何十年も前に亡くなった祖父の名義になっていることは結構あります。

この場合、亡くなった祖父の相続をしなくてはなりませんので、自分の兄弟以外にも伯父や叔母、従兄弟から印鑑をもらわないと名義を変えることができないのです。

実際に住んでいたのも固定資産税を払っていたのも亡くなった父親かもしれませんが、祖父の相続人全員に法定相続分があるので、協力してもらえないと売ることも担保に入れてお金を借りることもできません。

処分できない不動産の固定資産税を支払い続け、空き家の管理もし続けなくてはならなくなるかもしれません。

相続人は、下の代に行くほど枝分かれして人数が増えていきます。まだ、話ができる関係性があればいいのですが、存在さえも知らなかった相続人にお願いしなくてはならないケースも多々あります。

自分の家族の為にも、相続登記は済ませておいた方がいいのです。

 

自分でできるかどうか

少し怖いことを書きましたが、この事例と自分で相続登記ができるかどうかは別の話です。

ここまで複雑になってしまえば、司法書士に依頼した方がいいかもしれませんが、こうならないための相続登記なら、決してできないものではありません。

相続登記は、金融機関でする預貯金の解約や名義変更とは異なり、不動産登記法という法律で定められた形式に沿って申請しなければなりません。

必要となる書類も多くて複雑である上に、内容が整っているか審査もされます。不動産という財産を守る制度でもあるので、厳格な手続きが求められているのです。

当然知識のない方が進めようとしても時間と手間がかかるので、途中で断念してしまう人も少なくありません。

どういった場合に自分でできるのかを見極めることが大切です。

大まかには下記3つのポイントで、自分で登記ができるかどうかを判断すると、分かりやすいかと思います。

 

自分で相続登記ができるかどうかのポイント
  • 財産が多額で多種多様ではないか
  • 相続人が多くないか
  • 自分に作業をする時間があるか

自分で相続登記ができるかどうかの判断材料として下さい。

 

 

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