相続

【各遺言の特徴】公正証書遺言や自筆証書遺言のメリット・デメリット

遺言書にどんな種類があるのでしょうか。 民法では、各種の遺言方法を定めています。

その中でも、大きく分けると遺言書には普通方式遺言と特別方式遺言といった2種類の形式があります。

こんな人におすすめ

  • 遺言書の違いを把握したい人
  • 遺言を気軽に書きたい人
  • 遺言を何度も書き直したい人
  • 遺言の費用を安く済ませたい人

 

遺言の種類

 

普通方式遺言は、通常時の状態で使われる形式です。

特別方式遺言を作成する事は、めったにないので、通常は普通方式遺言を残します。

特別方式遺言については、簡単にまとめておきます。

中には特別な証人や、裁判所での確認が必要な遺言もあります。

特別方式遺言とは?

「危急時遺言」

一般臨終遺言 死が迫っている状況で行う遺言形式。

難船臨終遺言 船や飛行機の難航等で死が迫っている状況で行う遺言形式。  

「隔絶置遺言」

一般隔絶地遺言 隔離病棟治療中や刑務所に服役中など、自由に行動できない状況で行う遺言形式。

船舶隔絶地遺言 船で死は迫っていないが、船中で遺言書を作成したい場合の遺言形式。

 

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で遺言書を作成する形式で、一般的にイメージする遺言書はこの自筆証書遺言のことです。

遺言方式の中で最も簡便で、遺言書の作成を秘密にしておくことができる遺言です。  

 

自筆証書遺言の方式

自筆証書によって遺言をするには、自分で、遺言の内容と日付及び氏名を書いて、署名の下に印を押さなければなりません。

最近、自筆証書遺言の書き方が、緩和されました。

以前は全文の自署が求められていましたが、財産目録は自署の必要がなくなりました。

法務局で預かってもらえる制度も始まっています。

参考記事
公正証書遺言より安心?「自筆証書遺言書保管制度」利用のススメ

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自筆証書遺言の注意点

利用しやすい自筆証書遺言ですが、その反面、紛失したり、毀損したり、偽造変造されたりする危険性は否定できません。

「自署」を求められているのは、筆跡によって本人が書いたものであることが判断でき、自署であることが遺言者の真意によることが分かるためです。

自分の手で書かなければなりませんので、財産目録以外は、パソコンで作成したりコピーを用いた遺言は無効です。

字の書けない人が遺言をするには、公正証書遺言又は秘密証書を選択するしか方法はありません。  

 

無効になる要素が多い

自筆証書遺言は、他の遺言と異なり、自分だけで書くことができるので、遺言の要式を守らないと無効になってしまいます。

以下の様な場合に無効になるとされています。

無効な自筆証書遺言書

  • パソコンで書いた遺言書(財産目録は可)
  • 音声で残した遺言書
  • 署名又は押印のない遺言書
  • 日付の記載がない遺言書
  • 遺言者以外が書いた遺言書
  • 2人以上が共同で書いた遺言書

 

自筆遺言証書で日付が自書を要件としているのは、遺言者の能力を判断する標準時を知るためと、2通以上の遺言書が現れた場合にその前後を確定して、遺言者の真意を確保するためです。 遺言書は、後日付のものが優先されます。

 

遺言書の日付について

遺言書作成の年月日が自書されていない自筆証書遺言は無効ですし、年月だけ書いて日が書いてない場合も無効です。

「還暦祝賀の日」とか「第〇回の誕生日」などの記載は暦日が正確にわかりますから、日付の記載の要件を充たします。

「〇年〇月吉日」という記載は日の記載として不正確ですので日の記載がないものとして無効だとされています。

 

遺言書の氏名について

氏名は、戸籍上のいわゆる本名でなくて、雅号•芸名•屋号であっても、筆者の同一性が確認できれば、遺言は有効と認められます。

名前だけで姓の記載がなくても同一性が確認できれば遺言は有効とされます。

 

なお、遺言書が2枚以上になる場合、用紙と次の用紙と間に割印を押すことは、法律上は要件とされていません。

しかし、全ての用紙で単一の遺言であることを明確にし、差替えを防ぐために、綴じた上、割印を押しておいたほうが間違いありません。  

 

公正証書遺言

公正証書遺言とは、証人2人の立ち会いの下、公証人が遺言者から聴き取った内容を元に作成する遺言です。

作成した遺言書は公証人役場で保管してもらえます。

費用がかかりますが、専門家に確認してもらえますので、一番安心で安全です。

 

公正証書遺言の方式

公正証書遺言は、以下の方式で作成されます。

  • 証人2人以上の立会いのもと
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し
  • 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させ
  • 遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印し
  • 公証人が、その証書は方式に従って作成したものである旨を付記してこれに署名押印すること

 

公正証書遺言の方がいい場合

自分の名前以外、自書する必要がありません。

また、遺言者が署名することができない場合でも、公証人がその事由を付記して署名に代えることができます。

自筆証書遺言の場合には、関連性がありませんが、話すことができない方や耳の聞こえない方も公正証書遺言をすることができます。

まとめると、おおよそ以下の点で公正証書の遺言の方が優れています。

  • 公証人が関与するため無効になったり、意味不明のため後日紛争が起きない
  • 文字が書けなくても作成可能であること
  • 原本は公証人が保管するため、その存在が明瞭で、紛失•改変のおそれがない
  • 相続開始後、検認手続を経る必要がない
  • 公証人に自宅又は病院に出張してもらって公正証書を作成してもらうことができる

 

公正証書遺言の利用しにくい点

公正証書遺言は、以下の理由で利用しにくい点もあります。

  • 公証人の関与が必要で、その方式は厳格である
  • 証人2人以上の立会いが必要である
  • 自筆証書遺言の場合より費用がかかる

 

再発行ができる

作成後には、公正証書遺言の正本と謄本を手渡され、原本は公証人役場に保管されます。

後日、紛失してしまった場合でも、生前は、遺言者本人が行けば、再発行してもらえます。

お亡くなりになった後は、相続人が公証役場へ赴けば、再発行してもらえます。

日本公証人連合会では、事務局に備えられたコンピューターに、遺言者の氏名、性別、生年月日、担当公証人、公証役場、証書番号、作成日等を登録しています。

その為、遺言者の死亡後は利害関係人の要望により検索に応じているので、遺言書が残されていたかどうかも調べる事ができようになっています。  

 

秘密証書遺言

公正証書遺言では、遺言内容を秘密にしておくことができません。

しかし、実質的には、公証人に守秘義務があり、証人にも条理上守秘義務があります。

自分に取って、信頼のおける人に証人になってもらえば、秘密が漏れることはありません。

しかし、それでも絶対に秘密にしておきたい場合には、秘密証書遺言の利用が間違いありません。

秘密証書遺言とは、遺言者が自分で用意した遺言書を証人2人と同行して公正役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらえる遺言です。  

 

秘密証書遺言の方式

秘密証書遺言は、以下の方式で作成されます。

  • 遺言者がその証書に署名、押印
  • 遺言者がその証書に封をして証書に用いた印章でこれに封印し
  • 遺言者が公証人1人及び証人2人以上の前で封書を提出
  • 自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述
  • 公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載
  • 遺言者及び証人とともにこれに署名押印

 

遺言書がある事実だけを残す

証人と公正人には遺言の内容は知らせずに、遺言書がある事実だけを残すのが目的です。

公証人が遺言書を提出した日付と遺言を書いた人の申述を記入します。

遺言を書いた人と2人の証人も署名押印が必要です。 公正証書遺言と異なり、公証人役場で保管されません。

手数料も高いので、確認もされませんので、遺言内容を知られたくない場合以外は、自筆証書遺言か公正証書遺言を選択した方が賢明です。  

 

自筆証書遺言との違い

自筆証書遺言も遺言内容を秘密にできますが、秘密証書遺言とは、取り扱いが異なります。

秘密証書遺言では、遺言書の本文や日付住所を、自書する必要がありませんので、点字や、パソコンで作成しプリントアウトしたものでもよく、他人に書いてもらったり、パソコンで作成してもらっても構いません。

しかし、署名だけは、必ず遺言者本人がしなければなりません。

また、秘密証書遺言の要件を欠いても、自筆証書遺言として有効と認められる余地は残ります。  

 

まとめ

どの遺言がいいのかは、遺言を残す方の事情にもよります。

しっかり残したい人、気軽に書きたい人。

一度書いたら決めてしまいたい人、何度も書き直したい人。

安く済ませたい人、かかる費用は仕方ないと思う人。

人それぞれですが、間違いない結論は、残しておいた方がいいということです。

内容については、もちろんですが、手続き自体もかなり簡単になります。 それぞれの特徴を掴むことが大切ですね。  

 

 

 

 

 

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