金融機関の融資に必要な書類への記入も終え、必要書類も提出し、いよいよ決済当日を迎えました。
不動産の売買で、売買代金を支払う残代金決済のことを、「決済」といいます。
集合時間の午前10時に金融機関に到着すると、応接室にとおされ、段々と当事者が揃います。
会場に1番乗りしようと思って早めに行ったら、不動産業者の彼が先に来ていました。


差し障りのない挨拶を交わして、登場人物を待ちます。
次に売主さんが到着し、ほぼ同時に司法書士の先生も到着しました。

いよいよ不動産売買の決済が始まります。
本人確認
まず、司法書士の先生から、登記に関する説明をしていただきました。

司法書士の本人確認とは?
司法書士が業務を行う場合、次のことを確認します。
- 依頼者及びその代理人等が本人であるかどうか
(人の確認) - 依頼内容の対象が間違っていないか
(物の確認) - 依頼の意思が本人自身の意志であるか
(意志の確認)
売主さんと僕から、登記に必要な書類を持ってきたかどうかをチェックして、預ってもらい、それぞれが本人であるかどうか、運転免許証を提示して確認されます。
今回行う登記は、売主さんにローンは残っていないので、購入物件の抵当権抹消登記等はなく、所有権移転登記と僕の融資に必要な根抵当権設定のみです。
次に名義を変更する経緯や内容が記載された「登記原因証明情報」を元に購入物件が記載の不動産で間違いないことと、僕が会社で購入することに間違いがないことを確認されました。
売買契約の内容が、登記に必要な分だけ、反映されている書類です。
登記原因証明情報とは?
「登記原因証明情報」とは、登記の原因となった、事実又は法律行為とこれに基づき、現に権利変動が生じたことを証する情報のことをいいます。
売買による所有権の移転の登記の申請をする場合には、契約の当事者、日時、対象物件のほか、売買契約の存在とその売買契約に基づき所有権が移転したことが、記載されます。
所有権の移転時期等の特約があるときは,その条件成就の事実を証する事項の記載も必要です。
売買契約書に書いてある内容どおりの書面です。
そこに僕と売主さんが、署名押印していきます。
登記の委任状にも押印致しました。
必要書類の確認と融資実行
次は登記に必要な書類の確認です。
売主さんは、「権利書」と「印鑑証明書」。
買主の僕は、会社の「登記事項証明書」と「印鑑証明書」をお渡ししました。

金融機関の融資担当者から、購入物件に根抵当権を設定する書類も渡してもらいました。
色々と司法書士の先生にチェックしていただくと...

と、宣言があって...

と、融資担当者が、融資の実行に取りかかってくれました。
諸費用の精算

僕が融資を受けて、売主さんに売買代金を支払うだけでなく、他の諸費用の精算もしなければなりません。

お支払いする伝票を何枚も次々に記載していきました。
伝票の内容は以下のとおりでした。
売買残代金(買主)
買主が売主に支払う、手付金を差し引いた売買代金の残額です。
固定資産税清算金(買主)
固定資産税とは、土地・家屋等を所有している者に対し、市町村が課税する地方税のことです。
1月1日時点の所有者に課税されます。
納税通知書自体は、4月~5月頃に届き、全納か分納かを選択して支払います。
固定資産税は4/1から翌年3/31までの課税の為、売主が払いすぎた分を日割り計算して、買主が払い戻します。
仲介手数料(売主・買主)
仲介手数料は、住宅の売買や賃貸借の取引の際に、売主と買主の間に入って調整や様々な事務を仲介する不動産業者に支払う手数料です。
売買では、「売買金額の3%+6万円+消費税」の手数料がかかります。
登記費用(売主・買主)
司法書士に支払う所有権移転や根抵当権設定にかかる費用です。
法務局に納める登録免許税と報酬が合算された金額を支払います。
火災保険料(買主)
購入物件にかかる火災保険の費用です。
同時に金融機関へ質権設定をして、もしもの時に火災保険から下りた保険金から、残債務を支払います。
承継保証金(売主)
売主が、大家として入居者から預かっていた敷金や保証金を買主に引き継ぎます。
買主は、入居者が退去するときにこの承継金から、保証金を返還しなければなりません。
家賃精算代金(売主)
通常、入居者は翌月分の家賃を前月までに支払います。
そのため決済当日が月の途中である場合は、日割り計算して、売主がもらい過ぎている家賃を買主へ渡します。
ほとんどのお金が、口座を移動するだけなので、目の前に現金が出てくることはないのですが、大金が一瞬で入って出ていきました。
物件引渡
売買残代金や諸経費の精算が終わり、物件の引渡をしてもらいました。
といっても、現地で「はい、どうぞ」というわけではなく、各部屋の鍵の引き渡しです。
これで、晴れて収益物件のオーナーになることができました。
今日から僕も大家さんです。
通帳の残額
さて、目の前を大金が駆け抜けていった後の通帳を眺めます。
まだ、数百万円残っています。
でも、これは後日の「不動産取得税」と「建物修繕費」に使うので、大切に取っておかなければなりません。
不動産取得税とは?
不動産取得税とは、不動産(土地・家屋)を取得したときにかかる税金です。
取得した時に1度だけかかる税金ですが、翌年から毎年、固定資産税・都市計画税(市町村税)が課税されます。
自分の住まいを購入する場合は、軽減措置が図られていますが、事業用の不動産だと減税が全くないので、かなりの金額を支払わなくてはなりません。
決済の所要時間
不動産売買の決済日には、色んなことをしなくてはなりません。
名義変更の手続き、融資実行、諸経費の支払い。
書類もたくさんある上に、資金の移動自体にも結構時間がかかります。
集合時間から、1時間くらいはかかると思って、準備した方が間違いありません。
今回は流れが別ですが、収益物件を管理会社に委託する手続きをその場ですることもあります。
当日は、時間に余裕をもったスケジューリングをしておきましょう。
確認不足!!
不動産取得税は、半年後くらいに来るということでしたので、大切に残金を取っておかなくてはなりません。
また、これから建物の外装や劣化部分を修繕するので、修繕費の支払がある為、通帳にお金が残っているからといって、よろこんでいられません。

改めて確認してみました。
僕が支払うお金
①売買残代金(売主)
②固定資産税清算金(売主)
③仲介手数料(仲介業者)
④登記手数料(司法書士)
⑤火災保険(保険会社)
売主から譲り受けるお金
⑥承継保証金
⑦家賃精算代金
今後支払予定のお金
⑧不動産取得税
⑨建物修繕費

融資を受けて、支払って、今後支払う分のお金を残す。
支払いが終わると通帳の残額がなくなる。ってことか。

あれ、でも、よく考えると...

って気付きました。
でも、心の動揺を見せたくなかったので、何となく周りに聞いていくと...


結果オーライ!?
この時まで、完全にフルローンのつもりでいました。
結果的に、後日来る⑥承継保証金と⑧不動産取得税が、ほぼ同額だったので支払えますが、この認識がズレが大きかったら大変でした。

言った言わないではなく、金額の検証が甘かった自分が悪いのです。
そして、数ヶ月前に手付金を手形貸付で借りた手形を返却してもらえたのでした。
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問題点
さて、何とか「大家」になることができた「僕」ですが、要所要所において、詰めが甘過ぎました。
金融機関は、お金を貸してくれますし、ある程度の収支も見てくれます。
しかし、資料を色々と提出するのは、やはり借り主側ですし、内容を把握しておかなければなりません。
当日の資金移動に不足がない金額だったからか、だれも問題視していませんでしたが、僕1人だけ認識が甘かったのです。
仲介業者は物件の売り買いが仕事。
金融機関はお金を貸すのが仕事。
収益物件の管理運営は大家の仕事。
当たり前ことができておりませんでした。
でも、これで僕は大家になってしまいました。
当然、これからアパート経営をしていかなくてはならないのでした。
まとめ
「固定資産税の精算」「保証金の承継」「家賃の精算」
「登記原因証明情報」「引渡完了確認書」「不動産取得税」
どの段階に至っても、専門用語が尽きません。
でも、どんどん詳しくなっていく気がしています。
収益物件購入をし、名義の変更まで辿り着くことができました。
賃貸不動産の経営は、買ってからがスタートです。
詰めの甘さをなくすには、学習していくしかありません。
実際に経験することが一番の勉強です。
しかし、これから結構勉強料を支払って行くことになるのでした。
続く