相続・遺言・登記

【尊厳死宣言公正証書】遺言書とは異なる人間らしい最後の自己決定

2020年10月9日

尊厳死とは、傷病により「不治かつ末期」になったときに、自分の意思で、現代の延命医療技術がもたらした過剰な延命措置を中止し、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることであるとさています。

自分がもし、不治の病となり、末期になったときに、延命治療を望まないかもしれません。

「尊厳死宣言公正証書」とは、自らの考えで尊厳死を望む、延命措置を差し控え、中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する「事実実験」をして、その結果を公正証書にするものです。

「事実実験」とは、公証人の五感の作用により直接体験した事実のことで、その「事実実験」に基づいて作成されたものを「事実実験公正証書」と呼んでいます。

事実実験公正証書は、公正証書遺言と同じく、その原本が公証役場に保存され、公証人が作成に関与するので、強い証明力があります。

 

「尊厳死宣言公正証書」は、公正証書遺言とは別に作成されています。

  • 遺言者の死亡前の必要になること。
  • 遺言内容を親族以外に見せなければいけないこと。

これらの理由により、遺言書に馴染みにくいので、公正証書遺言の中で意思表明を行うケースはほとんどないようです。

 

「尊厳死宣言公正証書」について、日本公証人連合会のサイトに詳しく記載があります。

 

自分の最後の尊厳を保ちながら、安らかで人間らしい自然な死を迎える為に、大切な公正証書です。

遺言と同じく、心身ともに健全な時に、自分の意思を文書にして残しておくことで、確かなものとなります。

色んな選択肢の内の1つです。お考えの方は、公証役場へ御相談下さい。

 

尊厳死宣言公正証書の例

第1条 私は、将来病気に罹り、それが不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。

1 私の疾病が現在の医学では不治の状態に陥り既に死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命措置は一切行わないでください。

2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限実施してください。そのために、麻薬などの副作用により死亡時期が早まったとしてもかまいません。

第2条 この証書の作成に当たっては、あらかじめ私の家族の了解を得ています。

第3条 私のこの宣言による要望を忠実に果して下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これら方々に対する犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いします。

第4条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものであります。したがって、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が撤回しない限り、その効力を持続するものであることを明らかにしておきます。

※公証役場のホームページから引用

 

 

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