起業の雑学

特定商取引法と守られている消費者がクーリングオフできる場合

起業や事業の経営に当たり、「民法」「商法」「会社法」といった、大枠の法律の他に押さえておきたい法律を御紹介致します。

法律の内容を理解しておければ、申し分ないのですが、世の中にはこんな決まりがあるんだ、ということだけでも知っていると、色々なことに気がつけるきっかけになるので、概要だけでも眺めておいて損はないと思います。

今回は、消費者の保護を目的とした「特定商取引法」についてご説明致します。

 

特定商取引法

以前は「訪問販売法」という名称でした。

インターネットで通信販売する場合などで、事業者が守るべきルールを定めて利用者を守ろうとした法律です

どうしても対面販売よりトラブルが多くなるので、消費者の利益を守るために制定されました。

ネット通販をする場合は、サイト上に必ず「特定商取引法に基づく表記」を設けておく必要があります。

また、事業者が守らなくてはいけないルールと、無条件で契約を解除できるクーリング・オフ等の消費者を保護するルール等を定めています。

 

具体例

 エステティクサロンに出向き、美顔の20回コース、総額40万円の契約をした。

 5回ほど通ったが、仕事帰りで予約も取りにくいし、思ったほどの効果も感じられないので解約したいとの申出をされた。

 エステティクサロンの契約で、契約期間が1月を超え金額が5万円を超えるものについては、特定商取引法で、「中途解約制度」が設けられています。

 中途解約の違約金の上限は、既に受けたサービス代金を除いた契約残高の10%か2万円のいずれか低い額となっています。

 これにすでに提供されたサービス代金(事例の場合は5回分)を加えた金額が事業者への支払額となります。

 また、契約直後の場合、契約書面を受け取ってから8日間以内であればクーリング・オフが可能となっているので解約を受け付けなくてはなりません。

 

 具体的な救済手段には、「クーリングオフ」「意思表示の取消し」「損害賠償等の額の制限」の3つありますが、後で詳しくご説明いたします。

 まずは、特定商取引法の規制対象になる場合の取引を見ていきましょう。

 

規制対象となる類型

訪問販売

事業者が自宅に訪れて、「商品」や「権利」の販売や「役務の提供」を行う契約をする取引の事です。

「キャッチセールス」、「アポイントメントセールス」を含みます。

消費者の住居を訪問して契約を行うなどの販売方法が一般的です。

その他に喫茶店や路上での販売、またホテルや公民館を一時的に借りるなどして行われる展示販売のうち、期間、施設等からみて、店舗に類似するものとは認められないものも訪問販売に当たります

 

通信販売

売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行う商品、権利の販売または役務の提供のことです。

具体的には、新聞や雑誌、テレビ、インターネット上の広告や、ダイレクトメール、チラシ等を見た消費者が、郵便や電話、ファクシミリ、インターネット等で購入の申込みを行う取引方法をいいます。

ネットオークションも含まれます。

 

電話勧誘販売

事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のことです。

電話をいったん切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当します。

事業者が消費者に電話をかけさせて勧誘した場合も該当します。その方法として以下のものが規制されています。

  1. 当該契約の締結について勧誘するためのものであることを告げずに電話をかけることを要請すること
  2. ほかの者に比して著しく有利な条件で契約を締結できることを告げ、電話をかけることを要請すること

 

連鎖販売取引

個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の取引です。

例として「この会に入会すると売値の3割引で商品を買えるので、他人を誘ってその人に売れば儲かります」とか「他の人を勧誘して入会させると1万円の 紹介料がもらえます」といった勧誘がこれにあたります。

入会金、保証金、サンプル商品、商品などの名目を問わず、取引を行うために何らかの金銭負担があるものはすべて「連鎖販売取引」に該当します。

 

特定継続的役務提供

長期で継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のことで、以下の7つの役務が対象とされています。

 

エステティック

人の皮膚を清潔にしもしくは美化し、体型を整え、または体重を減ずるための施術を行うこと。

美容医療

人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと。

語学教室

入試や試験に備える予備校以外の語学の教授。

家庭教師

 学校の入学試験に備えるためまたは学校教育の補習のための学習塾以外の場所において提供される学力。

学習塾

 入学試験に備えるためまたは学校教育の補習のための学校の児童、生徒または学生を対象とする用意された場所において提供される学力の教授のこと。

パソコン教室

電子計算機またはワードプロセッサーの操作に関する知識または技術の教授のこと。

結婚相手紹介サービス

結婚を希望する者への異性の紹介すること。

 

業務提供誘引販売取引

「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引です。

例として以下のものがあります。

  • 販売されるパソコンとコンピューターソフトを使用して行うホームページ作成の在宅ワーク
  • 販売される着物を着用して展示会で接客を行う仕事
  • 販売される健康寝具を使用した感想を提供するモニター業務
  • 購入したチラシを配布する仕事
  • ワープロ研修という役務の提供を受けて修得した技能を利用して行うワープロ入力の在宅ワーク

 

訪問購入

事業者が消費者の自宅等を訪問して、着物や宝石といった物品の購入を行う取引です。

 

規制類型のまとめ表

取引形態対象商品
役務
書面交付義務クーリング オフ勧誘取消広告規制その他
①訪問販売商品・役務特定権利申込書・契約書8日間ありありなし過量販売
解除権
②通信販売商品・役務特定権利前払い式通信販売には承諾通知義務ありなしなしなしあり返品制度
③電話勧誘販売商品・役務特定権利申込書・契約書8日間ありありなし 
④連鎖販売取引指定なし概要書面・契約書20日間ありありあり中途解約
⑤特定継続 的役務提供7種類概要書面・契約書8日間ありありあり中途解約
⑥業務提供誘引販売取引指定なし概要書面・契約書20日間ありありあり 
⑦訪問購入商品申込書・契約書8日間*ありなしなし売主の引渡し拒絶可

 

規制の種類

特定商取引法は、トラブルを防止と消費者を保護するために、一定のルールを定めています。

 

クーリングオフ

特定商取引法は、「クーリング・オフ」を認めています。

クーリング・オフとは、申込みまたは契約の後に、法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間内に、無条件で解約することです

 

クーリングオフの方法

ハガキでもクーリングオフできますが、届いていないと言われないために、期間内に送ったことを証明できる「内容証明」という方法を使った方が間違いがありません。

ネットで送れる「e内容証明(電子内容証明)」の方が安くて簡単です。

内容は下記のとおり、簡単な文章で充分です。

 

通 知 書

住所
○○株式会社
代表取締役○○殿

令和2年6月20日

住所           
氏名          印

 私は、令和○年○月○日、下記の商品を購入する契約又は契約の申し込みをしましたが、本日、この契約又は、申し込みを解除あるいは撤回します。


商品名  ○○
価格   ○円

 

クーリングオフの期間

訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入においては8日間。

連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間以内と決められています。

信販売には、クーリング・オフに関する規定はありません。

 

表示方法

クーリングオフは、消費者に対する注意事項として、書面でよく読むべきことを、赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。

また、クーリング・オフの事項についても赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。

さらに、書面の字の大きさは8ポイント以上であることが求められています。

 

クーリングオフの効果

クーリング・オフを行った場合、すでに商品もしくは権利を受け取っている場合には、事業者の負担でその商品を引き取ってもらうことや、権利を返還することができます

また、商品が使用されている場合や、役務がすでに提供されている場合でも、その対価を支払う必要はありません

消費者は、損害賠償や違約金を支払う必要はなく、すでに頭金等の対価を支払っている場合には、すみやかにその金額を返してもらうとともに、土地または建物そのほかの工作物の現状が変更されている場合には、無償で元に戻してもらうことができます

ただし、使うと商品価値がほとんどなくなる、化粧品などの消耗品を使ってしまった場合や、現金取引の場合に3000円未満の場合には、クーリング・オフの規定が使えません。

 

意思表示の取消し

特定商取引法は、事業者が不実告知や故意の不告知を行った結果、消費者が誤認し、契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときには、消費者は、その意思表示を取り消すことを認めています

 

損害賠償等の額の制限

 特定商取引法は、消費者が中途解約する際等、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設定しています。クーリングオフと異なります。

 

 

 

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