大切な家族が亡くなった場合、やらなくてはならない手続きがたくさんあります。
悲しみにくれている時に、やりたくはない作業ばかりですが、そんな雑務が忙しくさせてくれると、悲しみを紛らわせてくれることもあります。
通夜、葬儀から、法要納骨。
各役所や保険の届出や、申告。
喪が明けてもいない間に、やらなければいけないことだらけです。
心の負担を少なくして、なるべくスムーズにできるよう、必要となる手続きを説明致します。
- 亡くなった直後に必要な手続き
- 葬儀後お御礼が済んだ頃にする確認事項
- 急がないけど、ほっておけない手続き
- 落ち着いてからでもいい手続き
時系列で4つに分けました。
今回は、亡くなった直後に必要な手続きを解説致します。
亡くなった直後に必要な手続き
死亡診断書
病院で亡くなった場合と他の場所で亡くなった場合では、大変さが違うこともありますが、医師に「死亡診断書」を作成してもらいます。
死亡届
「死亡診断書」は、役所へ提出する「死亡届」と合わせて1枚の用紙になっています。
入院していた病院や、継続的に診療してもらっていた場合は、すぐに「死亡診断書」を交付してもらえます。
医者にかかっていなかった場合や、その他の病気以外の理由でなくなった場合には、「死体検案書」を作成してもらいます。
警察の調査などもあったりして、少し大変な思いをしてしまうかもしれません。
死亡診断書も死体検案書も同じ用紙を使います。
提出期限は、亡くなってから7日間ですが、死亡診断書を受け取ったら、なるべく早めに市区町村役場へ提出します。
市区町村役場の受付時間外でも提出は可能です。
届出ができる人は、下記の方です。
- 同居の親族
- 同居していない親族
- 同居者
- 家屋管理人
ただ、たいていの場合、通夜、葬儀の打ち合わせや準備で、心身共にかなり忙しい状況なので、葬儀屋の方が、行ってくれることが多いです。
死亡届の提出は、使者が届け出ても受け取っていただける扱いです。
代理人ではなく、使者でも受け取ってもらえるので、委任状は不要です。
葬儀屋の方もプロなので、ちゃんとやっていただけますが、今後の手続きで戸籍を取らなくても、死亡届と死亡診断書のコピーで済む手続きもあるので、複数枚コピーを残しておきましょう。
戸籍に亡くなったことの記載が完了するまでに、約1週間ほどかかりますので、コピーを残しておくと役に立つことがあります。
埋火葬許可申請
死亡届を提出する際に、亡くなった方を火葬、埋葬するための「埋火葬許可申請」をします。
手続きの処理が終わると「埋火葬許可証」が交付されます。
死亡届と同様、市区町村役場の受付時間外でも提出は可能です。
埋火葬許可証は、火葬当日に火葬場へ提出しなければなりません。
火葬が終わると、火葬の証明を加えて、埋火葬許可証を返却してもらえます。
この埋火葬許可証は、納骨の際まで必要になりますので、しばらくの間、大切に保管しておかなければなりません。
世帯主変更届
亡くなった方が、住民票上で世帯主だった場合には、「世帯主変更届」が必要になります。
この変更届出、住民基本台帳法という法律で、亡くなってから14日以内に提出が必要だと定められています。
世帯とは、住居と生計を一緒にしている単位のことをいいます。
世帯主は、その単位の代表者のことで、世帯員は、世帯主以外の人をいいます。
具体的には、住民票の世帯主欄が変わることになります。
ただ、亡くなった方が、世帯主で亡かった場合や、残された世帯の方が、奥さん1人といった、次の世帯主が明確な場合には、提出する必要がありません。
健康保険の資格喪失届
亡くなった方が、国民健康保険だった場合は、「資格喪失届」を、亡くなってから14日以内に、提出しなければなりません。
もし、時間的に余裕が取れる状態でしたら、一緒に「葬祭費の申請」をしておくと、二度手間になりません。
葬儀を行った場合に支給されるものなので、実際に葬儀を行っていない場合には、支給されません。
そのため、実際に葬儀を行ったことを証する書類を、呈示する必要があります。
葬儀費用の領収書などが、これに当たります。
どの市町村でも、だいたい5万円支給されますが、条例や規約が別に定められていると、多かったり少なかったりすることもあります。
この資格喪失届の際に、保険証の返却も求められますので、一緒に持参して下さい。
また、亡くなった方が、70歳以上の場合は、高齢受給者証も発行されているので、それも一緒に返納しましょう。
更に、75歳以上の場合は、後期高齢者医療被保険者証も返却しなければなりません。
介護保険や後期高齢者の手続きは、各役所で取り扱いに差があるので、全て持って市区町村役場へ出かけた方が、間違いありません。
勤務していた方が亡くなった場合
在職中に亡くなった場合は、勤務先で健康保険に加入している場合があります。
この場合「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を最寄りの年金事務所に提出する必要があります。
まず勤務先で、やってくれる場合がほとんどですので、勤務先に保険証を返却することになります。
勤務先によっては、健康保険以外にも、独自の制度を設けている場合もありますので、分からなかったら、勤務先の担当者に相談した方が、早いかと思われます。
厚生年金などに加入している人を「第2号被保険者」といいますが、その扶養に入っている人は、「第3号被保険者」とされています。
第3号被保険者は、扶養者が加入している年金から保険料を納付してもらっていましたので、妻が夫の扶養に入っていたような場合は、その後の健康保険について考えなければなりません。
他の家族の扶養に入るか、国民健康保険への加入を検討しなければなりません。
扶養者が亡くなった場合に妻は、夫の厚生年金資格喪失とともに、国民年金の「第1号被保険者」という年金になりますので、市区町村役場で、変更の手続きとその後の年金保険料の支払いが必要になります。
公的年金の種類
公的年金には、3種類あり、日本国内に住所のあるすべての人が加入を義務づけられています。その人の働き方により加入する年金制度が決まっています。
国民年金 | 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人。 |
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厚生年金 | 厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人。 |
共済年金 | 公務員・私立学校教職員など。 |
国民年金
国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡により「基礎年金」を受けることができます。
国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」と3種類があり、どの制度に加入するかにより、保険料の納め方が異なります。
第1号被保険者
(対象者)
農業等に従事する、学生、フリーター、無職の人など。
(保険料の納付方法)
納付書による納付や口座振替など、自分で納めます。(納められないときは、免除や納付猶予の仕組みがあります。)
第2号被保険者
(対象者)
厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する者であれば、自動的に国民年金にも加入します。(ただし、65歳以上で老齢年金を受ける人を除きます。)
(保険料の納付方法)
国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれますので、厚生年金をかける人は自動的に国民年金にも加入することになります。厚生・共済各制度が、国民年金制度に基礎年金拠出金を交付します。
第3号被保険者
(対象者)
第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人をいいます。ただし、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は第3号被保険者とはならず、第1号被保険者となります。
(保険料の納付方法)
国民年金保険料は配偶者が加入する年金制度が一括負担します。
厚生年金
厚生年金保険に加入している人は、厚生年金保険の制度を通じて国民年金に加入する第2号被保険者に分類され、国民年金の給付である「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受けることとなります。
共済年金
共済(組合)制度は、国家公務員、地方公務員や私立学校の教員などとして常時勤務する人は組合員(私立学校教職員共済では加入者)となります。
まとめ
大切な方が亡くなった場合に必要な手続きとして、今回は、亡くなった直後に必要な、死亡届、埋火葬許可申請、世帯主変更届、健康保険資格喪失届をご説明しました。
こういった雑務で忙しくしていると、悲しみを紛らわせてくれるかもしれません。
時間の経過と共に、しなくてはいけない手続きも変わります。
特に期限がある手続きは、注意が必要です。
引き続き、時系列ごとに必要な手続きについて解説して行きます。