個人と法人の違い
事業を起こす際に、個人でやろうか会社でやろうか悩むかと思います。
どちらもメリットデメリットがありますが、信頼や節税面の観点から選択することが多いです。
名前に○○会社と表記できない
個人事業主とは、自分で事業を営む個人のことを言います。
一般的には「屋号」を持って営業することが多いです。
飲食店としての「○○屋」や、建設業としての「○○建築」など、株式会社や合同会社といった名称の付いていないものを通常、屋号と言います。
正確には個人事業主の代表者を社長とは呼びません。
なお、国税庁のホームページでは、屋号についてこう説明されています。
屋号とは?
屋号(又は雅号)とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことです。よって、個人事業者の方においては、商店名等を入力してください。
(参考)税務署に提出する個人事業の開業・廃業等届出書にも屋号欄があります。
雅号とは、著述家、画家、書家、芸能関係者などが本名以外につける別名のことです。
決算期が選べる?選べない?
個人事業主の事業年度は全て1月1日~12月31日と決められています。
この間の売上や経費を税務署に報告して、それに対応した税金を納付することになります。
申告の時期は翌年の2月15日~3月13日です。
お財布の違い
法人とは、法人格という言葉があるように、1つの別人格ができるものとイメージすれば、分かりやすいです。
従って、社長個人の財布と法人の財布は別になります。
この相違とかかる税金が所得税と法人税に分かれ、税率が異なることから、節税という話が出てきます。
登記の必要性
また、法人については法務省がその管轄省庁となり、設立時の手続き(登記)の提出先も法務局です。
法務局では、履歴事項全部証明書(会社の登記簿)というものを誰でも取得できます。
法人名や本店所在地などいくつかの項目が分かっていれば、すべての法人についてこれを閲覧することが可能となります。

※法人と言っても実は250種類以上もあり、株式会社の他に合名会社、合資会社、合同会社。会社以外には、一般社団法人、NPO法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人等があります。
業種や事業規模と関係なく選べるものは、会社、一般社団法人、NPO法人が代表的で他の法人は一般的な起業の選択肢には入りません。
最も選択されやすい会社については、「持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)」と「株式会社」の2種類に分類することができます。
詳しくは別の項目で解説しております。
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法人起業は株式会社でいいの?4つの会社3つの法人の特色を解説
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まとめ
以下、大まかに個人と法人の違いを表にまとめてみました。
個人 | 法人 | |
開業時 | ||
登記の必要性 | 不要 | 必要 |
開業日(設立日) | 自由 | 登記申請日 |
定款の必要性 | なし | あり |
税務署・都道府県税事務所への届出 | 必要 | 必要 |
許認可事業の届出 | 必要 | 必要 |
会計税務 | ||
決算期 | 12月 | 自由に設定できる |
主な税目 | 所得税・住民税・個人事業税・消費税 | 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税 |
住民税均等割 | なし | あり |
最高税率 | 高い(所得税) | 低い(法人税) |
同居親族への給与 | 青色事業専従者に限定 | 制限なし |
交際費の損金算入 | 制限なし | 制限あり |
受取配当の益金不算入 | なし | あり |
事業主への給与・給与所得控除 | なし | あり |
事業主への退職金の損金算入 | 不可 | 可能 |
事業承継・相続 | 煩雑 | 容易 |
青色申告制度 | あり | あり |
繰越欠損金の繰越期間(青色申告) | 3年 | 9年 |
青色申告特別控除 | あり | なし |
社会保険 | 任意加入(従業員5人以上は要加入) | 強制加入 |
受取配当金の益金不算入制度 | なし | あり |
消費税の基準期間が1年未満の場合 | そのまま | 1年ベースに換算 |
税務調査 | 少ない | 多い |
事業運営 | ||
名称 | 屋号 | 商号 |
機関設計 | 不要(自由) | 必要 |
社会的信用 | 低い | 高い |
採用 | 不利 | 有利 |
責任 | 無限責任 | 出資額を限度に有限責任 |
事業主(代表者)の変更 | 不可(事業承継を除く) | 可能 |
資金調達 | 不利(個人信用力が上限) | 有利 |
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個人事業のメリットデメリット
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