起業の雑学

会社経営に失敗した場合、個人へも責任追求されることがあります

2020年8月23日

事業を起こして、商売を始める時に個人で始めるか、法人で始めるか悩みます。

法人で事業を起こすメリットはたくさんありますが、その中でも責任が限られていることは、大きな利点です。

ただ、実際の運用では、代表者が連帯保証をすることが一般的なので、法人で起業しても個人責任を免れないことがほとんどです。

では、かたくなに個人保証をせずに、個人の財産を守って、しっかりと分離経営をしていた場合は、絶対安全なのでしょうか。  

 

責任を分けるための法人化

個人事業を経営をしていく内に、税務対策上法人化したりすると、個人と法人が実質同一の運用をしている場合もあります。

中小企業が、会社を伸ばそうとすると、どうしても個人資産を提供しなければ、発展は望めません。

しかし、中には計画倒産をさせるために、個人と法人の資産を区別しておく方々が存在するのも、否めないのです。

もちろん、会社と個人を明確に分けて、健全な運営をしていれば、個人として責任を負わされることはないのですが、悪質な場合には、債権者の保護も図られています。  

 

法人格否認の法理

「法人格否認の法理」とは、会社がその構成員または、他の会社と独立した法人格を有することを否定する法理です。

つまり、会社の責任を個人にも負わせてしまいます。

本来、会社は法人であり、個人とは法律上の別人格です。

会社自体が、権利義務の主体となるので、会社が得た権利や、負担した義務を、株主や役員が負うことはありません。

では、一体どんな場合に、会社の責任を個人が負うのかというと、下記の場合が想定されます。  

 

法人格が形骸に過ぎないとき

法人化していて、会社の形態を取っているが、形だけで、実態は個人企業であるような場合です。 名義だけは法人でも、取引相手からすれば、会社と取引したのか、個人と取引したのか、分からない様な場合がこれに当たります。

  • 個人と法人の事業や財務内容が混同している
  • 会社と社員の使用形態や責任が混同している
  • 会計帳簿の記載や勘定科目の区分がされていない
  • 株主総会等の組織運営がなされていない
  • 資本金が見せ金の様な場合

見せ金とは?

見せ金とは、資本金を誰かから借入れて、会社設立後すぐに返済してしまうことです。 資本金に相当する資金があることに見せかけるので「見せ金」といいます。 見せ金は、本来会社にお金が存在しない状態なのに、債権者を信頼させ欺く行為なので違法行為です。

こういった事業運営をしていると、法人格が形骸化されている状態と言えます。  

 

法人格を乱用しているとき

法人格の乱用とは、何か不当な目的のために、法人を運用している場合です。

会社の営業活動がないのに、個人的な営業で資産も個人に帰属しているような場合がこれに当たります。

  • 会社を支配できる者が、個人のために利用してる
  • 違法な目的のために利用している
  • 倒産と再開を繰り返しているとき
  • 第三者を詐害する意図があるとき

 

法人格を否認されないために

健全な経営をしていれば、債権者から法人格の否認を主張されることはありません。

また、会社の経営が立ち行かなくなった場合に、個人の資産をつぎ込むこともあります。

しかし、会社と社長は、法的に別の存在です。

当たり前ですが、会社にお金を貸した人が、社長へ個人的な支払を要求できるものではありません。

社長は、会社の株を保有する「オーナー」です。

自分の判断で経営をしなければなりません。 その判断を、公私混同していては、個人も法人も同じでしょ。と言われても文句は言えません。

この考え方は、税金の徴収上でも適用があります。

 

まとめ

同族中小企業では、会社を私的に利用している社長も見受けられるので、日頃から、法人と個人を分離して考えることが大切です。

会計はしっかり付けてるよ、ということだけでは、もしもの時に、個人責任を追及されてしまうことがあるのも否めないのです。

日頃から、会社は会社。個人は個人という意識を持って、経営しなければなりませんね。  

 

 

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