相続・遺言・登記

【公正証書遺言の作り方】分かりやすい流れと必要になるものや費用

2020年10月1日

遺言書にもいくつか種類がありますが、一般的に利用されているのは、自筆証書遺言と公証証書遺言の2つです。

公正証書遺言とは、自分自身が自書して作成する自筆証書遺言に比べて、公証人に確認してもらい作成するので、最も安全確実と言われています。

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公正証書遺言の特徴

「公正証書遺言」は、公証役場の公証人に作成してもらうので、遺言の方式が整っており、無効になることは、まずありません。

自分で作成する「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」は、遺言の要件が充たされておらず、無効になってしまうかもしれません。

また、公証人が関与し、証人2名の立会を求められるので、相続人による強要や詐欺により、遺言者本人の意図に反した遺言を作成される恐れもありません。

更に、公正証書遺言は、法務局で保管されていない自筆証書遺言や秘密証書遺言と異なり、遺言者が亡くなった後の家庭裁判所による遺言の検認が不要です。

検認
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公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言は、公証人に作成していただきます。

公証人は、公証役場に常駐していて、全国中に存在しています。

 

遺言書を作成するためには、どんな遺言を残したいのか、公証人に伝えなければなりません。

その為、遺言書に記載する財産が何か分かる資料や書類も必要です。

 

公正証書遺言の準備

遺言を公正証書で作成するには、おおよそ、以下のものを事前に準備しなければなりません。

 

 遺言の内容を記載したもの。

詳細に記載してあるに超したことはありませんが、聞き取りをしていただけるので、おおよそのものでも対応していただけます。

 

遺言に必要な資料等

1.「遺言者の印鑑証明書」
発行後6ヶ月以内のものが必要です。

2.「遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本•除籍謄本等」
遺言者との関係を証明します。

3.「相続人以外の人に財産を遺贈する場合には、住民票等」
遺言書に受遺者の住所氏名を記載して特定しますので、住所氏名の分かる公的書類が必要です。

4.「登記事項証明書」「固定資産評価証明書」
相続させる財産が不動産の場合

5.「預金通帳、株券等の明細が分かるもの」
不動産以外の財産の場合

 

証人2人の立会いが必要

公正証書遺言には、証人2名の立会が必要です。

証人は、遺言書に記載されますので、証人になる方の住所、氏名、生年月日、職業が分かるものを用意して下さい。公的書類である必要はありません。

 

証人になれない方

次の方は、関係性が近く利害関係を有するので、証人になることができません。

  • 未成年者
  • 推定相続人
  • 受遺者
  • 推定相続人の配偶者及び直系血族
  • 受遺者の配偶者及び直系血族

 

証人は、手続き上、遺言内容を知ることになります。

しかし、遺言の証人をお願いできるような相手は、どうしても関係の近しい人になってしまうので、遺言内容を知られたくないかもしれません。

ご自身に適当な証人がいない場合には公証役場に相談すると、証人を紹介していただける場合があります。

ただし、証人へ謝礼金が必要になります。

公証役場によって異なるかもしれませんが、おおよそ証人2名で合計1万円程です。

 

遺言執行者

遺言執行者とは、遺言を実行し手続きをする人のことです。

遺言執行者を決めておくと、相続の各手続きが、かなり簡単になります。

遺言執行者も、遺言書に記載されますので、遺言執行者になる方の住所、氏名、生年月日、職業が分かるものを用意して下さい。公的書類である必要はありません。

執行者は、証人でも、相続人でも、また受遺者でも、誰でも指定することができます。

 

公正証書遺言当日

遺言公正証書の作成当日には、遺言者の実印、証人2名の認印が必要です。

民法969条に、公正証書遺言の方式が決められています。

①証人2人以上の立会いのもとで

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し

③公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させ

④遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印し

⑤公証人が、その証書は方式に従って作成したものである旨を付記してこれに署名押印すること

という流れで作成されます。

なお、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができます。

また、遺言者が病気等で来られない時は、費用がかかりますが、公証人に出張してもらえます。

 

公正証書遺言の作成手数料

公正証書遺言の作成手数料は相続財産がどの程度あるか、遺言によって財産を受け取る方が何人おられるか等の条件によって、異なってきます。

自筆証書遺言では、法務局に預けなければ、費用が発生しません。

公証役場の手数料は以下のとおりです。

詳しいことは、公証役場にお問い合わせ下さい。

 

まとめ(メリット・デメリット)

公正証書遺言の特徴をまとめるとメリットデメリットが見えて来ます。

公正証書遺言のメリット

①方式不備の為、無効となりにくいので、紛争が生ずることがほとんどない
②文字が書けなくても作成可能
③原本は公証役場が保管するため、紛失•改変のおそれがない
④検認手続が不要
⑤公証人に出張してもらって作成できる

公正証書遺言のデメリット

①公証人の関与が必要で、その方式が厳格
②証人2人以上の立会いが必要
③費用がかかる
④手軽に書き直せない

検索ができる

メリットデメリットを見比べてみても、費用がかかる以外に、たいしたデメリットはありません。

また、公証役場は、オンラインで繋がっていて、遺言者の氏名、性別、生年月日、担当公証人、公証役場、証書番号、作成日等を登録し、遺言者の死亡後は利害関係人の要望により検索に応じています。

亡くなった方が遺言書を残していなかったかどうか、相続人が公証役場に問い合わすことができるのも、公正証書遺言の大きなメリットです。

保存期間

公正証書遺言の保管期間は、原則20年と規定されています。

しかし、保存期間が満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならないとも規定されています。

よって、遺言者が120歳程度の年齢に達するまで、保管していただけるようです。

これは、公証役場によって取り扱いが異なっています。

まとめ

遺言にもいくつか種類がありますが、安心できる遺言書を残すには、公正証書遺言が一番間違いありません。

とは言え、少し敷居が高いのも否めません。

取りあえず、自筆証書遺言を書いておいて、時期が来たら公正証書遺言に切り替える。

そんな合わせ技も事情に応じて使うことができます。

自分の置かれている状況や、スタイルに最適な遺言書をその都度選ぶことが大切です。

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