相続・遺言・登記

登記の情報化により法務局に行かなくても内容確認できるサービス2つ

2020年11月16日

日常生活では、なかなか触れることがない「登記」ですが、どんなものかご存じでしょうか?

実社会で行われた取引等を公の記録に登録して、権利や義務を保護して円滑な取引に役立っている制度です。

「法務局」によって管轄され、起こった取引を記録したり、効力の発生要件となったり、対抗要件を備えるといった効果があります。

そんな個人情報がつまっている登記簿は、誰でも見ることができてしまいます。

不動産取引の安全性を確保する為には、確認しなければならない情報ばかりだからです。

登記制度は、各国で利用されていて、その性質が国により異なります。

 

日本の登記制度

日本では、登記に記載してあることに対して主張はできますが、登記に記載してあることが事実であることまでは、保証されておりません。

他の国では、登記に記載してあることが、絶対である国もあります。

こういった制度の取り扱いを、日本の不動産登記には「対抗力」はあるが、「公信力」がないと表現します。

とは言え、たまにニュースになりますが、登記簿が間違っていることは、めったにありません。

登記にも様々な種類があります。

 

登記の種類

不動産登記
表題部で不動産(土地や建物)の物理的現況などを公示し、権利部で所有権や抵当権などの権利を公示します。
効力発生や対抗要件を得ることができる登記です。

商業登記
会社や商人を対象として、会社の設立や新設合併などで効力を発生させます。
それらを含めた会社や商人の幅広い権利義務を公示して法令上、また取引上の対抗要件を得る登記です。

法人登記
会社以外の法人についての登記です。

外国法人の登記
外国会社が日本で継続して取引を行う場合にする登記です。

船舶登記
船舶に関する私法上の権利関係を公示するための登記です。

成年後見登記
成年後見人などの権限や任意後見契約の内容などをきろくした登記です。

動産登記
特別法に登記ができるとされている動産の登記です。

動産譲渡登記
動産の譲渡を第三者に対抗できる登記です。

債権譲渡登記
債権の譲渡を第三者に対抗できる登記です。

質権設定登記
債権譲渡登記の規定を準用しています。

各種財団登記
工場財団や鉱業財団、漁業財団、港湾運送事業財団等に関する登記です。

企業担保権登記
企業担保権を設定・変更するときの登記です。

夫婦財産契約登記
夫婦が婚姻時に法定財産制と異なる契約をしたときにする登記です。

立木に関する登記
立木も登記することができます。

 

自宅で登記簿を見れる

普通に生活や事業をしている上で利用する登記は、「不動産登記」「商業登記」くらいだと思います。

不動産登記は、不動産の所有者が誰かといった、権利関係が記載してあります。

商業登記は、会社の役員が誰かの様な、会社の情報が記載してあります。

登記簿に記録された情報は、法務局に行けば見ることができます。

以前は、法務局まで出かけて、登記簿謄本を取得するか、登記簿という簿冊を閲覧して、確認しなければなりませんでした。

それが、平成12年から、法律の改正がなされ、紙媒体から電子的な記録へと、順次移行していきました。

それにより、今では自宅や会社のパソコン等で、登記情報を閲覧することができるようになっています。

便利な時代になりました。

そのため、以前は出かけなければならないので、あちこちにあった法務局もずいぶんと数が減りました。

愛知県の例ですが、この20年で半分くらいになっています。

 

平成8年の所在図ですが、現在は、赤四角で囲った法務局以外は、統廃合となりました。

 

登記情報提供サービス

現在は、「登記情報提供サービス」という制度をインターネットを通じて利用することができます。

ただし、法務局で登記事項証明書を取得するのと異なり、画面上で閲覧したものを印刷するものですので、末尾に登記官の証明印が押されておりません。

そのため、PDFファイルで提供され、法的証明力がない扱いになっています。

反面、利用時間も、平日午前8時30分から午後9時までと、法務局が5時までに比べて、使い勝手がかなりいいです。

「クレジットカードの即時決済による一時利用」「申込手続を行い、利用者登録を行った上で利用する登録利用」のどちらかですが、一時利用でもお手軽に使うことができます。

利用できる種類も多いので、ほとんどの場合、ネットで用が足りてしまいます。

 

閲覧できる登記情報

不動産登記情報
コンピュータ化後の閉鎖登記簿も閲覧可

地図情報(縮尺を正確にプリント可)
地図又は地図に準ずる図面 (公図)

図面情報(縮尺を正確にプリント可)
土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面、各階平面図

商業・法人登記情報
現存会社等の場合は履歴事項の全部、閉鎖会社等の場合は閉鎖事項の全部

動産譲渡登記事項概要ファイル情報及び債権譲渡登記事項概要ファイル情報
現在事項又は閉鎖事項の全部

 

 

もし、登記簿に記載されている内容を確認する必要があるときは、使って見て下さい。

気楽に使うことができますし、そんなに難しくありません。

公印はありません。

 

登記オンライン申請システム

ただ、先ほども記載したように、登記情報提供サービスだと、証明印がありません。

そのため、公的機関や金融機関では、通用しない場合もあります。

その場合は、直接法務局に行くのも手ですが、今は登記事項証明書をネットで取得する制度も始まっています。

それが、「登記ねっと」と呼ばれる「登記・供託オンライン申請システム」です。

 

 

不動産登記事項証明書、商業法人登記事項証明書の取り寄せだけでなく、登記申請なども行えます。

申込方法はいくつかありますが「申請用総合ソフト」を使うのが一般的です。

でも、そんなに頻繁に取るわけではないので、ソフトを使わない請求方法も用意されています。

その場合、「かんたん証明書請求」を使えば、ブラウザから請求できるので、かなりお手軽です。

法務局で受け取ることも、自宅や会社に郵送で送ってもらうこともできます。

郵送にした場合、登記事項証明書を発送する法務局を選べるので、遠くの物件であっても、最寄りの法務局から発送してもらえるので、早く届きます。

通常午前中に手続きを終えれば、翌日の午前中には到着するようです。

公印があるので、証明力があります。

 

まとめ

日頃、あまり縁のない登記制度ですが、暮らしの要所要所で、関わる場面が出てきます。

以前は、難しくてハードルが高いものでしたが、現在はかなり親切です。

また、「登記情報提供サービス」も「登記・供託オンライン申請システム」も、法務局で登記事項証明書を取得するより、費用が安く済みます。

郵送してもらえて、出向くより費用が安いので、利用しない手はありません。

必要になる機会がありましたら、是非チャレンジしてみて下さい。

そんなに難しくありませんよ。

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