「語彙力」とは、「言葉をどれだけ知っているか、そしてどれだけ使えるかどうかという能力」を意味する言葉です。
単純に、知っている単語の数が豊富なだけでなく、その言葉を場面に応じて、適切に活用できなければ、語彙力が高いとは言えません。
なかなか簡単に身につくものではありませんが、安易に使うだけで、この人大丈夫かなって思われてしまう言葉もあります。
自分が知っている言葉の中から、気をつけて選んで使うだけで、受け取り方も随分違うのです。
今回は、安易に使うと語彙力が疑われる言葉を御紹介致します。
ら抜き言葉
ら抜き言葉とは、見れる、食べれる、寝れるといった、「れ」の前の「ら」が脱落した言い方のことです。
可能、尊敬、受身、自発などを表す助動詞「られる」のうち、可能を意味する場合だけ、「ら」が抜けてしまいます。
しかし、現在では、文化庁の調査によると「ら抜き言葉」を使う人の方が、多数になっているそうです。
正しい日本語としては、「ら」を抜かないように使いたいですが、場面で使い分けたいですね。
でも、「ら抜き言葉」が認められる日も遠くないかもしれません。
超
若者言葉として使われて来た「超」ですが、使い出された頃の方も、すっかりいい年齢になっていると思います。
超すごい!超おもしろい!
といった言葉は今でも若い方の専売特許のイメージは拭えません。
年配の方が使っていると、無理して若作りしているように思われるかもしれませんし、若者も公的な場面では使用を控えた方が賢明です。
でも、盛り上がった日常会話などでは、使った方が楽しいですね。
すごい
本来、悪い言葉でもありませんし、よく使う言葉です。
驚いたり、感銘を受けたときに使いますが、何でもかんでも「すごい!」って言っても会話が成立してしまいます。
大変便利な言葉ですが、バカの1つ覚えみたいになってしまい、教養を疑われるかもしれません。
同じ意味でも、「著しい」、「すさまじい」「とてつもない」「はなはだしい」のような表現に変えると、会話の相手も「すごい」と思ってくれるかもしれませんよ。
やばい
元々は、自分にとって不都合な事態が起こりそうな危ない状況を意味していました。
今でもその意味で使われていますが、最近では「すごくいい」や「魅力的だ」といった肯定的な使われ方もされて来ています。
由来として、牢屋や看守を意味する「厄場(やば)」という言葉があり、そのようなものと関わりあいになりそうな危険な状況を示す言葉の「やばい」が江戸時代から泥棒などの間で使われるようになったそうです。
1980年頃から、カッコいいといった意味で使われ出してから、若者言葉の代名詞みたいになっていますが、大人としては、使用を控えた方がいいですね。
マジ
これも若者言葉かと思いきや、意外にも歴史は古いのです。
語源はやはり「真面目」から来ており、江戸時代から「マジ」という表現で使われていたようです。
意外と古い「マジ」も若者言葉としてすっかり定着して、使われています。
そういった印象からも、古い言葉ということだけで、大人が安易に使うべきではない言葉です。
他にもある以外と古い言葉
ムカつく
本来は体調が悪いことを表す言葉で平安時代からありました。現在では、腹が立ったりいらだつ時に使われています。
モテる
「持てる」から「支えることができる」 転じて、もてはやされるとなっていった言葉で、江戸時代から使われています。
「ビビる」「ヘコむ」「キモい」等もルーツは相当古い言葉です。
安易な使用には気をつけましょう。
いま、行きます
何気ない表現ですが、なんとなく子供っぽさが抜けません。
相手を立てて、へりくだった表現の方が、品性を感じていただけます。
丁寧な言葉遣いに慣れている年齢層の方が聞くと、失礼に聞こえる場合もあります。
これからお伺いします。といった謙譲表現の方が、耳馴染みがいいはずです。
ぶっちゃけ
気持ちを打ち明けることを、「ぶっちゃける」と言うことがあります。
聞いている相手にも、フレンドリーな感じを与えて、分かりやすい単語ですが、少しカジュアルな印象を与える若者言葉です。
小難しい表現になりますが、「ありていに言うと」や、「単刀直入に言えば」といった表現の方が間違いありません。
しかし、言葉の響き自体に、「思い切って言う」という雰囲気があり、親しい間からで使うと親密さが増すことがあるかもしれませんので、相手や場面に応じて使い分けたいですね。
知りません
質問に対して単純に「知りません」では、質問の相手に小バカにした印象を与えるかもしれません。
また、自ら知識不足のバカであると言っているようなものですので、対応としては不適切です。
「不勉強で申し訳ありません」と答えれば、努力不足の反省が込められているので、悪い印象を持たれることはありません。
返答の後で素直に「教えていただけませんか」と謙虚に訪ねると、より好感を持たれることに繋がります。
教えていただいた後は、御礼も添えると、尚効果的です。
ないわ~
どう考えてもあり得ないような場合に使われます。
相手の発言を否定する言葉なので、相手や場面を間違えると怒らせてしまうかもしれません。
誰がどう見てもおかしいという表現を伝える場合、否定する理由を述べてから、あり得ないと伝えた方が無難です。
でも、親しい間からで楽しく話す分には、会話のテンポがよくなりますね。
二重敬語
二重敬語とは、同じ種類の敬語を重複して使用することです。
「尊敬語+尊敬語」や「謙譲語+謙譲語」といった使い方を指します。
いくら相手を敬っても、敬語は文中に1つが原則ですが、丁寧にしようと思い、敬語が過剰になってしまった経験は、誰でもあるかと思います。
よく使う例として、食品の説明書きなどでよく目にする「お召し上がりください」は、尊敬語の動詞「召し上がる」に尊敬の敬語表現「お〜ください」が接合していますので二重敬語です。
こういった時が移り変わるにつれて言葉の使われ方が変わって行く、言葉の揺れは、適切ではなくても間違いであるとは言えません。
「召し上がる」は、もう正しい日本語として認識されている人の方が多いと思います。
なかなか難しいですが、敬語が重ならない表現の方が、返ってスマートで敬意が強調され、好感を持たれると思いますよ。
まとめ
今回紹介した言葉は、一般的に適切でないかもしれませんが、間違っている訳ではありません。
日常会話ではテンポも必要ですから、本来の正しい表現にこだわっていては、相手もめんどくさい奴だなと思ってしまうかもしれません。
どんな言葉も臨機応変に、場面に応じて使いたいものです。
でも、文章として後に残る場合には、正しい日本語を使った方が、間違いないかと思います。
言葉の意味も大切ですが、そういった適切な使い方をすることが、語彙力がある方だなという評価に繋がりますね。
日頃から、意識して使いましょう!