エッセイ

印鑑の種類や用途|日本人の気質がはんこ文化を存続させる

 古くは中国から伝わり現在まで日本の文化としても使われるようになっている印鑑ですが、今では欧米の様にサイン社会が取って代わり、印鑑を使用している国って案外少ないです。ちゃんと調べておりませんが、中国、韓国、台湾、日本くらいの様です。

 時代がどんどんと電子化していき、ペーパレス化も進んでいる状況下では、日本の印鑑も不必要になる時代が近々来るかもしれません。その速さは政府がどのくらい力を入れて推し進めるかどうかでしょうが。

 とは言え、まだ現状では大切な契約の時には、実印の押印と印鑑証明書の提出を求められることがほとんどです。その役割としては、本人として納得の上契約をしたことを間違いないものにして、証拠力を高めるために用いられています

 印鑑って色んな種類がありますが、本来印鑑とは「実印や銀行印など登録したハンコの印影」のことで、「印影」とは紙や書類に押印した際に残るあとの事を指しています。「はんこ」自体も「印章」のことですが、どちらも同じ物で物体としての呼称です。でも、一般的にはすっかり「印鑑=はんこ」って定着しちゃってますね。

 ここでは、このまま印鑑をはんこって意味で使います。また、押す印鑑も用途の別や押す場所によって使われ方も分かれますので、少し掘り下げてみました。

用途の別として

実印

印鑑登録をして法的な証拠力を高めた印鑑。本人確認の方法の一つとして使われ、重要な契約等に使われます。

銀行印

銀行等の金融機関で預貯金を下ろす場合に使用するため登録する印鑑。金融機関で使用する実印の様な扱い。

認印

日常的に使用する印鑑。受け取り等で使われます。ただ、証拠力の違いだけで法的な意味合いは実印と変わりません。

三文判

江戸時代の貨幣単位を用いており、安価な事を意味しています。用途というよりは、簡単に買える価値の低い印鑑を意味しています。

職印

一定の職業に就いている方が使用する印鑑。各所属機関に登録して使用します。

押す場所の別として

契印

契約書が複数枚になる場合、をれらが一つの契約書であることを証明するための押印。後から書面の追加や差し替えを防ぎます。押し方もページに跨がる様に押す方法から袋とじに押す方法もあります。

割印

契約書を複数作成した場合等に元々一対だった証として両方にまたがっての押印。

消印

消印とは課税文書に貼られた収入印紙の再使用を防ぐための押印。よくボールペンで斜線をいれたり「消」って押印をみかけますが、印紙税法が定める方法によると契約者の双方かどちらかの印鑑を押さなくてはなりません。押印する印鑑に制限はなく、サインでも大丈夫です。収入印紙は貼らなくても契約自体は無効となりませんが、罰則があります。国税庁のHPに消印について解説したページがありましたので、リンク張っておきます。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/03.htm

捨印

捨印とは契約書などの文書の内容に後日訂正があった場合に、前もって上部や下部の余白部分に訂正印として利用する押印。訂正が必要になっても相手から押印をもらわずに訂正できます。ただ、押印文書のコピーをもらうとか、複数作成各自保管の契約書であるとか、互いの認識に同一性が図れないようならば、押さない方がトラブルを防げます。

止印

文章の最後に以下余白と記載する代わりに末尾である事を示すためにする押印。

 正確な意味合いは上記のとおりですが、案外実際の運用はごっちゃになってますね。割印、契印なんて同じような意味で使われている感じがします。止印なんてまず使いませんし。

 そんな様々な種類がある印鑑ですが、確かに実印を押すっていうことは、特別な行為をするんだって気持ちにさせられます。よく上下の向きが分かりにくい実印を作って目印を付けない方が、押印前に今一度冷静に考えることができるなんて聞きますが、どうも縁起や運勢的な理由からそうなったようです。

 分かりやすいように削るしるしは、縁起が悪いとか、分かりやすい書体の文字では文字が切れて縁起が悪いとか色々な理由がありますが、真相は不明です。後から取って付けたものもあるかもしれませんが、やっぱり実印を押す場面を見ていると向きの確認をしながら押した方がよいのか今一度考えるという説の方が、 意味合いを理解してから押せるので納得しやすいですね。

 僕が実印を作ったのは、結構早くて小学校3年生頃でした。母親とユニーで買い物に出かけた時に、四柱推命の占いをしている場所があって母親に駄々をこねて占ってもらったんです。内容は忘れましたが、なんでそんなに当たるし、色んな事が分かるんだろうと驚きながら話を聞いておりました。今なら、自分でも小学生がしそうな事くらいなんて分かるから、占い自体の真偽は置いといて初対面でもある程度当てる事くらいはできそうです。

 で、そんなビックリ喜んでいる僕たちに占い師は、運気上昇の為に印鑑を買うといいなんて話をするわけですよ。ホント親子そろって信じちゃってるもんだから、まぁまぁ高価だったと思われる御印鑑をまんまと購入する運びと相成りました。もう霊感商法で壺買うのと全然変わりませんね。

 印鑑って実印用に作ってもらっても印鑑登録しなくては実印になりません。三文判だって印鑑登録すれば実印になります。結局その時に作った印鑑を成人してから印鑑登録して、今でも使っております。ものって使っている内に大切さが変わって参りますが、そういった自分のエピソードがあった方がより特別なものになって来ると思います。僕の母親も小さいときに誕生日であげた80円の湯飲みを大事そうにずっと使ってくれていました。値段の大小ではありませんが、想いを大切にしたいですね。

 印鑑って、使っていると欠けたりどこへ行ったか分からなくなることもあります。アナログな制度でもあるので、偽造も印影が分かっていれば簡単にできてしまいます。でも、このはんこ文化は日本人の気質に合っていますし、ものを大切に使うという心根はなくしてはいけないと思います。

 公文書もいつの頃からか電子印として印刷されています。その代わりに紙自体に偽造変造防止の工夫が施されており、信頼度の担保もされています。発行する側の負担も少なくどんどん便利になってきます。仕事でも電子署名をした文書を送信して、現物の送付は必要ないなんて事も多くなってきました。

 でも、やっぱり人間が暮らす社会なので、最後は人と人の繋がりで実際にお会いしながら事を進めたいですね。その方が感謝の気持ちも伝わりますし、次も頑張ろうなんて気持ちも出てきますもんね。時代に取り残されてはいけませんが、何が大切なことくらいは自分でちゃんと判断できる矜持だけは残しておこうと思います。

役所によって紙の大きさや色等も違う。こういうちょっとしたことがデジタル化されると廃れていくんだろうなぁ。

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