仕事をする上で、メールを使うことが当たり前になって、随分経ちます。説明するまでもなく、データをそのまま送ることができるので、FAXと違い同品質のものを受け取ることができます。
今後、契約書や議事録の電子署名が普及してくると働き方自体が、大きく変わるかもしれません。いや、既に変わって来ています。
連絡ツールとしてメール以外にもビジネスチャットが、内部でも外部でも便利に使われる時代になりました。
電話連絡はなくならないと思いますが、連絡ないようが後から確認できるので、ますます文字の重要性が上がってくると思います。
同じ内容を伝えていても、言葉一つで好印象にも悪印象にもなる危険性もはらんでいますし、いつまでも残るので、気をつけなければなりません。
以前、使い方に気をつけたい表現10選を御紹介しました。
今回は、メールで使いたい言葉を10個、ご紹介します。
メールで使いたいきれいな言葉10選
メールを受け取った相手が、好印象を持ってくれるような言葉をピックアップしてみました。人柄までよくみてもらえるかもしれませんよ。
ご厚情(こうじょう)をたまわり
日頃頻繁に接している相手でも、改まってお願いする機会が訪れることもあります。そんな時に相手への深い敬意を込めて使います。
日常会話の口頭で「賜り(たまわり)」なんて使うことは滅多にありませんが、文字になってみると並々ならぬ謝意を伝える気持ちが伝わります。
冠婚葬祭でも多用される言い回しですが、使う相手は上司や年長じゃといった、目上の方に使う表現です。
例文
・日頃より一方ならぬご厚情を賜り、厚くお礼申し上げます。
・この度は、退職に際してお心のこもったご祝詞を頂戴し、誠にありがとうございます。在職中は、一方ならぬご厚情をいただき、感謝申し上げます。
ご査収(さしゅう)下さい
ビジネスメールでは、頻繁に使われている表現ですが、正しく使えているでしょうか。
査収の「査」は、よく見て調べるとか確認するといった意味があります。「収」は、取り入れる、おさめるという意味で、 つまり「ご査収」とは、「内容をよく確認してお受け取り下さい」といった表現になります。
メールで使われることが多いことと、確認を促す意味を持っているので、添付したデータや書類の内容を確認して欲しい場合に使うと最適です。
例文
・請求書を送付いたしましたので、ご査収ください。
・ご査収のうえ、ご対応のほどよろしくお願いいたします。
ご寛恕(かんじょ)下さい
日常会話ではめったに使われず、耳にする機会もない言葉ですが、ビジネスシーンで相手に許しを請う時に使うことが多い敬語です。
「ごめんなさい」や「大目に見てください」をもの凄く丁寧に表現した言葉が 「寛恕」です。
「寛」は度量の広いこと。「恕」は許すこと。つまり、広い心でどうか許して下さいという意味で用いられます。
ご容赦下さいより、敬意を表している表現です。
仕事をしていると、どうしてもミスをしたりして、相手に謝らなくてはならないことがあります。
メールのみで済ませる訳にはいかない間違いもありますが、謝罪をして許していただく表現は、いくつかバリエーションを持っていた方が、文章に抑揚が出るので、メッセージを受け取った相手の心も傾いてくるかもしれません。
例文
・私どもの不手際に対して、ご寛恕を乞う次第でございます。
・この度はご寛恕を賜り、誠にありがとうございました。
お手すきの折りに
「お手すき」は「仕事中の手の空いた時間、手の空いていること」を意味する言葉です。
仕事がひと段落して、仕事中に少しの間手が空くことを指す言葉です。
「透き・隙」には「引き続く物事などの間に起こる絶え間」といった意味があります。また「隙」には「手空きの時間、ひま」といった意味があります。
「お手すきの折りに」は「引き続いている仕事の間の手の空く時間に」といった意味で使われます。
同じ意味で「お暇なときに」と書いてもよさそうですが、暇な人だと思われているという誤解を与えかねません。
相手の時間に余裕があるときにお願いしますといった、配慮が伝わる表現です。期限を切って返事を迫るような場合には、用いません。
例文
・お手すきの際に書類の確認をお願いいたします。
・お手すきの際で結構ですので、研修会の参加の有無をご連絡ください。
ご一緒できるとうれしいのですが
文法としてや敬語としては、正しくない使い方かもしれませんが、丁寧な表現としてビジネスシーンでも使うことができます。
上司や目上の人に「ご一緒する」という意思を伝えたい場合は、少し気をつけて使いたい言葉ですが、ある程度気心が知れた関係にある方へは、少しくだけながらも相手を立てているので、かえって効果的です。
自分が相手と一緒に行くことを望んでいるというニュアンスが伝わるので、相手の気持ちに負担を与えません。
少し使う相手を選びますが、この言葉を使うと受け取った側も不快な感情にはなりにくいものです。
例文
・今度A社の展示会があるそうです。ご一緒できるとうれしいのですが。
・来週Bさんとお会いになるそうですね。ご一緒させていただけませんか。
ご放念(ほうねん)下さい
ご放念くださいとは、気にしないでくださいという意味です。
「どうぞご放念ください」といった形でも使われます。
「気にしないでください」や「忘れてください」など直接的な表現を避けて、「これ以上の気遣いは必要ありません」といった意を伝えることができます。
「放念」は、「念(思い)」を放つ、思いを放り出すということで、気にしないで下さい、忘れて下さいといった意味に繋がります。
相手に向かって使う言葉で、自分自身の行いや思いに対しては用いません。
「ご放念ください」は「気にしないでください」ということを丁寧に言っていますので、目上の方にも使える言葉です。
例文
・先ほどのメールは間違いでした。ご放念下さい。
・昨日の見積作成依頼については、数量の変更がございますためご放念下さい。
お手をわずらわせますが
「わずらわせる」は、面倒をかけるや迷惑をかけると行った意味です。
何か頼み事をするときに、この言葉を挟むと文章全体が丁寧な印象になります。
特に目上の方に対して使われる言葉です。
例えば書類の整理を手伝ってもらったり、代わりに謝ってもらったりするような、苦労や面倒をかけてしまうときに「お手を煩わせて」と使うと「申し訳ない」気持ちを伝えることができます。
この言葉があるかないかで、かなり印象が異なります。
こういった言葉をクッション言葉といいますが、本題に入る前に使うと相手の受け止め方が和らいで、快く聞き入れてもらいやすくなります。
クッション言葉を挟まずにお願いしてしまうと、お願いごとに対して何とも思っていないのか、と思われてしまうかもしれません。
例文
・お手を煩わせてしまい申し訳ありませんが、同席いただけませんでしょうか。
・このたびはこちらの不手際により、お手を煩わせてしまい、大変申し訳ありませんでした。
お力添えいただきたく
誰かの手助けが必要な時に使います。特に目上の方に助けて欲しいときは、その表現に困りがちですが、そんな場合に使いたい言葉です。
「お力添え」の文字どおり、力を添えて欲しいことを伝えます。
つまり、全面的に相手に依存するのではなく、あくまで主体は自分であり、手助けを求める表現です。
自分自身も一生懸命頑張りますが、ちょっと力不足なので助けて下さいと頼みたいときに用います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内のメールにも使えます。
例文
・何卒お力添えいただきますよう、心よりお願いいたします。
・微力ながらもお力添えができれば幸いです。
ご笑納(しょうのう)下さい
何か贈り物をするときや、御礼をいただいたときに使う表現です。あまりメールで使う機会がないかもしれませんが、「笑」という字を見ることによって、文章全体が感じの良い印象を与えます。
「ご笑納」という言葉の意味は、「自分からのつまらない贈り物ですが、笑って納めてやってください」といった意味で相手にへりくだる場合に使われることの多い言葉です。
「ご笑納」という言葉は主に、目上の人やビジネスで相手に贈り物をする際に使われる言葉で、冗談の言い合える間柄の人への謙遜する言葉として使うと無難です。
表現に「笑」という字が入っているので、誰にでも使っていい表現ではありませんが、気心が知れた相手へは最適です。
贈り物をするときに「つまらないものですが」と言うことがありますが、謙遜していることは伝わるのですが、どうしても「つまらない」といった表現に違和感をおぼえてしまします。
謙遜しながらも相手への敬意も伝わる言葉ですが、使う相手や使うシーンを間違えると失礼にあたるため、使う際には注意が必要です。
お詫びの際での使用は厳禁です。
例文
・ご笑納いただき誠にありがとうございます。
・ご笑納いただければ幸いです。
不躾(ぶしつけ)なお願いですが
「不躾なお願い」は、失礼なお願いや無茶なお願いといった意味合いです。そのお願いが相手にとって急なことであったり、相手にとって手間になる時に用います。
それ程親しくない人に頼みごとをするときにこの言葉で切り出すと、スムーズにことが運ぶかもしれません。
「不躾」は、礼儀作法をわきまえないことを意味しています。また「ぶしつけ」には「露骨」「唐突」という意味も含まれます。
「失礼ですが」よりもへりくだり、相手への例を尽くす言葉で、自分の行動に対して使います。
また、目上の人に何かをお願いするときにも使うことができます。
例文
・不躾なお願いで大変恐縮ではございますが、ご検討の程お願いいたします。
・不躾なお願いで恐縮ですが、もう少し詳しい資料をいただけないでしょうか。
まとめ
メールに何気なく書いた言葉でトラブルを招いたり、印象を悪くしたりします。日頃から正しい言葉遣いを覚えておくと、そんな失敗を避けることができます。
相手を気遣う言葉から、心遣いを感じ取ってもらえるので、言葉一つで人間関係さえも好転させるかもしれませんね。
今回は、そんなメールで使いたいきれいな言葉を10個、お伝え致しました。
同じ内容を伝えるにしても、印象がよくなるかわるくなるかは、自分次第ですね。