相続・遺言・登記

【遺言のルール】記載方法を守らないと遺言書が無効になります!

2020年9月11日

遺言書を残すには、一定のルールが定められています。

その記載方法に従って作成しないと、無効になる危険性もあるのです。

遺言の要式が厳格になっているのは、内容を明確にして、偽造変造を防止することによって、遺言者の真意を残すためです。

しっかり確認してもらえる公正証書遺言の場合はともかく、自分で自由に書くことができる自筆証書遺言の場合は、注意が必要です。

 

遺言の共通方式

遺言は法律の定める方式に従ってなされなければなりません。

遺言は、「要式行為」といって、民法に定める方式に従わなければ、することができません。

要式行為とは?

要式行為とは本人の意思表示だけで足りず、法律上定められた一定の方式に従って行わないと、不成立または無効とされる法律行為です。

契約書等の一定の書類を作成することを必要とします。

 

その為、遺言が口頭でなされて、書面が作成されていない場合や、書面が作成されても、方式を欠いた場合には遺言は成立したことになりません。

仮に、遺言として録音した音声があっても、法律上の遺言としては、効力がありません。

また、遺言にはいくつかの決まりもあります。  

 

共同遺言の禁止

民法では、2人以上の人が同一の証書で一緒に遺言をできないとしています。

例えば、夫婦が一緒に子供へ遺言を残しても、無効な遺言となってしまいます。  

 

証人又は立会人の欠格事由

自筆証書遺言以外の遺言では、遺言の方式に応じて、一定数の証人または立会人が必要とされています

証人とは?

証人とは、遺言書が遺言者本人の意思に基づいて作成されたものであること.

遺言書の内容は遺言者の真意に合致しており違法な変更が加えられていないことを保証する方のことをいいます。

立会人とは?

立会人とは、遺言者が遺言の時に遺言能力があったことや、特別方式の認められる特別の事情があったこと。

また、証人となる人が、証人としての資格を有していることを、職務上保証することができる方のことをいいます。

遺言の作成に立ち会いますが、遺言の内容について真実であることを証明する責任を負いません。

 

証人や立会人になれない人

証人も立会人も遺言作成に関して重大な役割を持っていますが、遺言者と利害関係がないことが要件とされています。

利害関係がある人が関与すると、遺言者が自由な意思のもとで遺言をすることが妨げられる恐れあるからです。

証人や立会人になることができない人が決められています。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者及びその配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人(公正証書遺言の場合)

その他にも、署名できない人や、遺言者が言っていることを理解できない人は、役目を果たすことができませんので、証人となることができないものとされています。

目の見えない人は、証人になることができます。

 

判例では

証人欠格者が同席していたとしても、その者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど特段の事情のない限り、当該遺言公正証書の作成手続を違法ということはできずに、その遺言が無効となることはないとしています。

しかし、疑惑を避けるため、証人になれない人の同席は避けるべきでしょう。  

 

検認手続

公正証書遺言や法務局で保管してある遺言書以外の遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。

また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上、開封しなければならないことになっています

検認とは?

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

 

特別方式遺言の失効

利用することはまずないと思いますが、特別方式の遺言には、「一般危急時遺言」、「難船危急時遺言」、「伝染病隔絶地遺言」といったものがあります。

特別方式の遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から、6ヶ月間生存するときは、その効力を失います。

参考

一般危急時遺言

生命の危険が急迫しているときには、厳格な要件を充たすことが困難ですので、遺言者の最終の真意を確保するため、要件が緩和されています。

一般危急時遺言の要件

  • 証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授する。
  • 口授(口がきけない人の場合は通訳人の通訳)を受けた証人がそれを筆記する。
  • 口授を受けた証人が筆記した内容を、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、または閲覧する。
  • 各証人が筆記の正確なことを承認した後、遺言書に署名し印を押す。

今にも亡くなろうとしている方が遺言をする場合なので、口頭で遺言を残して、証人が変わりに書面化する遺言方式なので、遺言者本人の署名押印は必要ありません。

家庭裁判所の確認が必要

  • 一般危急時遺言による遺言の日から20日以内に、証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求して、遺言の確認を得なければなりません。
  • 家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができません。
  • 請求してその確認を得なければ、その効力がありません。

 

まとめ

法律的な効果を残す遺言である為、厳格な要件が定められています。

折角遺言を残したのに、無効になってしまっては、故人の意思が反映されません。

各遺言のメリットデメリットを理解した上で、自分に最適なものを選んで残したいですね。

 

 

 

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