誤解がなければ必要ない消費者契約法ですが、悪い業者もいるのです

起業の雑学
事業者と消費者の立場の違いから、手厚く保護している消費者契約法。でも自分で内容を把握することが大切です。

 前回、「起業時に知っておいた方がいい法律」として、「特定商取引法」を解説致しました。今回は、消費者との取引全般に適用のある「消費者契約法」についてご説明致します。

消費者契約法

 契約後に「聞いていた話と違う」「こんなはずではなかった」といったトラブルが起きることがあります。

 契約とは当事者同士の合意によって成り立つものです。消費者は一方の当事者なので、自分がかかわる契約をよく理解することが大切です。

 「消費者契約法」は、消費者と事業者との情報量、交渉力の格差があるため、事業者の不適切な行為があった場合、消費者を不当な勧誘や契約条項から守るために定められた法律です。

 スマホの購入や電子書籍、音楽配信の利用、賃貸住宅の契約もすべて消費者契約です。

事業者と消費者が結んだ契約は、すべて対象

 特定商取引法とは違い、通信販売や自ら店へ出向いて場合なども含め、すべての契約(取引)が対象となります

 ただし、例外として労働契約のみ適用対象となりません。労働契約が適用除外された理由は、労働者(消費者)は消費者契約法以外の法律(労働基準法、最低賃金法など)で保護されているからです。

事業者の「不当な勧誘」があった場合は契約を取り消せる

 「勧誘がしつこくて、つい契約してしまった」「契約をしてみたら、言われた話と内容が違っていた」という話はよく聞きます。事業者が消費者を困惑させたり、誤認させたりするような「不当な勧誘」をした場合、消費者はそれによって結んだ契約を取り消すことができます

具体的には、以下のような行為が「不当な勧誘」にあたります。

うそを言われた

重要事項について事実と異なる説明があった場合 (不実告知)

 事業者から聞いていた契約対象の物やサービスの説明や価格、支払方法等の契約内容が、事実と違う場合。

電話機を交換したら、電話代が安くなると言われたが、変わらなかった。

 重要な利益についての損害または危険を回避するための必要性について、事実ではないことを言った場合。

実際には汚れていないのに、オイルが汚れているので、交換しないと車が壊れます、と言われて交換した。

通常の量を著しく超える物の購入を勧誘された

分量や回数などが多過ぎる場合 (過量契約)

 通常必要とされる商品の分量や、サービスの回数等を著しく超えることを、事業者が知っていながら契約させた場合。

一人暮らしであまり外出をしない高齢者に、普段着ることのない着物を何十着も販売した。

必ず値上がりすると言われた

不確かなことを「確実だ」と説明された場合 (断定的判断の提供)

 将来における変動が不確実な事項について、確実であると告げた場合

将来、確実に値上がりするとは限らない金融商品について「必ずもうかる」などと説明して販売した。

不利になることを言われなかった

消費者に不利な情報を故意に告げなかった場合 (不利益事実の不告知)

 消費者の利益となる旨を告げながら、重要事項について不利益となる事実を故意に告げなかった場合

高層ビルの建築計画があるのに、日当たり良好と説明して住宅を販売した。

帰りたいのに帰らしてくれない

営業マンなどが強引に居座った場合 (退去妨害)

 事業者が勧誘している場所から、消費者が帰りたいなど退去する意思を示したにもかかわらず、消費者を退去させなかった場合

事業者の店などで勧誘された消費者が、帰りますと言っても強引に引き留めて、契約させた。

取消ができる期間は、保護されるべき内容なので、クーリングオフよりも長く設定されています。

  • 誤認をしたことに気付いたときや、困惑を脱したときから1年間
  • 契約の時から5年間

最近改正されて追加された取消し事項(平成30年改正)

就職セミナー商法等(不安をあおる告知)

 消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、契約が必要と告げた。

就職活動中の学生の不安を知りながら、「このままでは一生成功しないので、就職セミナーが必要だ」と勧誘した。

デート商法等(好意の感情の不当な利用)

 消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、勧誘者に好意の感情を抱き、かつ勧誘者も同様の感情を抱いていると誤信していることを知りながら、契約しなければ関係が破綻すると告げた。

SNSで知り合った男性と何度か連絡をして好きになった。宝石展示場に誘われて行ったところ、「買ってくれないと関係を続けられない」と男性に言われ契約。

高齢者等が不安をあおられる(判断力の低下の不当な利用)

 加齢や心身の故障により判断力が著しく低下していることから、現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり契約が必要と告げた。

加齢により判断力が低下した消費者に対し「投資用のマンションを買わなければ、定期収入がなくなり、今のような生活ができなくなる」と告げて勧誘。

霊感商法等(霊感等による知見を用いた告知)

 霊感等の特別な能力により、消費者にそのままでは、重大な不利益が生ずることを示して不安をあおり、契約が必要と告げた。

「私には霊が見える。あなたには悪霊がついており、このままでは病状が悪化する。この壺を買えば悪霊が去る」と告げて勧誘。

契約前なのに強引に代金を請求される等

 契約締結前に、契約による義務の全部又は一部を実施し、実施前の原状の回復を著しく困難にした。

事業者が、注文を受ける前に自宅の物干し台の寸法に合わせて、さお竹を切断し料金を請求した。

 契約締結前に、契約締結を目指した事業活動を実施し、これにより生じた損失の補償を請求する旨等を告げた。

別の街の事業者から、マンション投資の勧誘で会って欲しいと言われ会ったが、「あなたのためにここまで来た。断るなら交通費を支払え」と告げ勧誘された。

契約書に書かれていても無効な条項

 契約は約束ごとであるため、お互いを拘束しますが、消費者の利益を不当に害する内容については、契約書に示されていても効力を持ちません。

 例えば、以下のような契約条項は無効になります。

事業者に責任がある場合でも、「損害賠償責任はない」とする条項

(事業者の損害賠償責任を免除する条項)

 損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項は無効です。

「当ジムは、会員の施設利用に際し生じた傷害、盗難等の人的・物的ないかなる事故についても一切責任を負いません」とする条項は、認められません。

 また、事業者が、責任の有無や限度を自ら決定する条項も無効となります。

「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとする条項は無効です。

「一切のキャンセルや返品・交換などを認めない」とする条項

(消費者の解除権を放棄させる条項)

 事業者の債務不履行等の場合でも、消費者の解除権を放棄させる条項は無効です。

「ペットショップで生後60日の血統書付の子犬を購入しました。そのときに、販売覚書と免責同意書にサインさせられました。

子犬は3日目にぐったりしたので、獣医に診せたところ「先天的な異常」と言われました。治療をしてもらいましたが、結局2週間後に死亡したので、ショップに連絡しましたが、免責同意書があるので「一切補償しない」と言われました。

事業者の債務不履行等の場合でも、消費者の解除権を放棄させる条項は無効です。

 また、事業者が、消費者の解除権の有無を自ら決定する条項も無効です。

「お客様は、当社に過失があると当社が認める場合を除き、注文のキャンセルはできません」とする条項は無効です。

消費者が負う損害金やキャンセル料が高過ぎる場合

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等)

 契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項は無効です。

 キャンセル料が高すぎたり、解約時に支払い済みの金銭を返してもらえなかったりした場合は、不当な契約条項にあたります。

結婚式場等の契約において「契約後にキャンセルする場合には、以下の金額を解約料として申し受けます。実際に使用される日から1年以上前の場合:契約金額の80%」とする暴利な条項は、認められません。

消費者が一方的に不利になる条項

(消費者の利益を一方的に害する条項)

 消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、消費者の利益を一方的に害するものは無効です。

注文した掃除機が配達されたところ、掃除機のほかに注文していない健康食品が同封されていた。

後日、疑問に思って掃除機を注文した際の契約をよく見ると、消費者から事業者に「健康食品は不要である」と電話をしない限り、健康食品を継続的に購入する旨の条項が含まれていた。

成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項

 事業者に対し、消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項は、無効です。

アパート等の賃貸借契約における条項。
賃借人が、後見開始等の審判を受けたときは、賃貸人は直ちに本契約を解除できる。とする条項は認められません。

まとめ:お互いに細心の注意を払いましょう!

 以上の様にかなり消費者は保護されています。事業者としては、契約の解釈について、誤解が生じない、明確で分かりやすい表現になくてはなりません

 また、勧誘する際には、契約の内容に応じて、消費者の知識、経験を考慮した上で必要な情報を提供しなくてはなりません

 消費者としても事業者から提供された情報をしっかりと確認し、契約内容の理解をしてから契約したいですね。でも、中には悪い事業者もいますので、注意は怠れません。

 以上が消費者契約法の概要でした。特定商取引法と同じく守らないとペナルティがあるので、気を付けなければいけません。次回は「不正取引防止法」についてご説明致します。

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